コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第615回 菅野スガはヤリマンじゃなかった!


『菅野スガと石上露子』
(大谷渡著/東方出版)を↓読みました。

と言っても、菅野スガのほうだけ。
わりと短い評伝なのですぐ読める。

短い評伝なのは、
菅野スガが30歳で大逆事件で死刑に
なってる人だからでもあるんだけど、
この本の刊行目的がひたすら、
「菅野スガはヤリマンじゃなかった!」
に絞られているからだとも言える。

評伝本て、
先行本の間違いを指摘することを
目的に刊行されたものが多い。

『伊藤野枝と代準介』なんかもそうで、
この本は、先行本が
野枝の元夫・辻潤の浮気相手が
野枝の従姉の千代子(著者の妻の祖母)だと
しているのを間違いだと指摘することを
最大の目的にしている。

この間違いは、
瀬戸内寂聴さんの『美は乱調にあり』が大モト。
『美は乱調にあり』を参考にした
映画『エロス+虐殺』(吉田喜重監督/岡田茉莉子主演)も
浮気相手を千代子としている。

この浮気相手は、正しくは、
「従姉」ではなく「従妹」。
「従姉」だと千代子に限定されてしまう。

問題は、
『美は乱調にあり』よりも先に書かれていて、
『美は乱調にあり』の参考文献でもある
『炎の女』に正しく「従妹」と書かれていること。

『美は乱調にあり』は、
アタシが生まれたころの本なんで知らなかったけど、
かなり売れた本らしい。
だから映画のモトネタにもなってるわけね。

映画とか漫画とかのビジュアルは
活字の数倍印象が強い。
一見重要じゃなそうな浮気相手だとか
ヤリマンだったとかみたいな描写が
視聴者の頭には強く刻まれる。

ビジュアルは活字との違いを示すために
エロシーンを入れる、とも言える。

冒頭に書いた菅野スガの評伝ものも、
スガの元夫の荒畑寒村が書いたものを信じて
書かれたものが多い。

寒村は幸徳秋水にスガをとられたことを
恨んでそういう風にスガ像を書いたのか、
死刑になったオンナだから
何言ってもいいと思ったのか、
いずれにしても長生きした人間が
先に死んだ人間の像を決定づけるって、
長生きしたもん勝ちってわけだねえ。

けど、まあ、
活字本の影響なんてたかが知れてる。
ヤリマンの菅野スガ像を決定づけたのは、
漫画『「坊ちゃん」の時代』でしょう。

谷口ジロー氏は、
フランスとかでも人気の世界的漫画家だし、
菅野スガは単なるヤリマン女だったって
世界の人に印象づけられてるってことよ。

漫画が活字より下に位置するものだと思うのは
そんなときだな。
そして、そんな漫画を文化と主張し、
国家で保護せざるをえない国、ニッポン!
チャチャチャ!

ちなみに、
辻潤がうっかりセックスしちゃった相手は
キミあるいはきみ子という従妹で、
後年、大学教授の妻になったらしい。

そのあたりにも、あえて「間違えられた」秘密は、
あるんじゃないかと私はにらんでいる。
どうだっ。

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