コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第932回 小林清親とか黒襦子とか黄八丈とか


『伊藤野枝1895-1923』第33回悧巧
の絵を描きました。

哥津ちゃんは、
小林清親(1847-1915)の娘です。

清親(きよちか、と読む)は、
最後の浮世絵師とか「明治の広重」とか
呼ばれたりする明治時代の有名な画家で、
私も好きな画家です。

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(↑静岡県立美術館蔵「猫と提灯」)

清親(きよちか、と読む)は、
西洋画も学んでいたようですが、
『團團珍聞(まるまるちんぶん)』
(1877-1907)などに
カートゥーン(ひとコマ漫画)のような
「ポンチ絵」も描いていました。

漫画家でもあった、とも言えます。
kiyochika02

清親(きよちか、と読む)は、
江戸の香りを残した東京下町を
描いたことでも知られていますが、
清親の娘であった哥津ちゃんも、
「江戸っ子」っぽい女性だったようです。

同じ有名画家の娘であった紅吉こと尾竹一枝は、
哥津ちゃんを評してこう書いています。

〈黒襦子の襟をかけた黄八丈の着物に
博多の意気な柄の帯をしめることが
得意でもあったし、ぴったり似合ってもいた〉

「襦子」は「じゅす」と読みますが、
サテン生地のことです。
光沢があるのが特徴。

サテンは、
もともと絹で織られていましたが、
今は、綿サテンも
ポリエステル・サテンも
レーヨンサテンもあります。

いちばん安いのはポリエステル・サテンで、
洋服やカンフースーツあたりだと
パッと見は、シルク・サテンと
あんまり変わらない感じですが
(見る側に知識があれば即判別可能)、
帯となると、結ぶのに適するのは
シルク・サテンですよね。
ポリ・サテンて、いかにも
結びにくそうだもの。

江戸時代を舞台にした時代劇のドラマとかでも
黒い共衿(かけ衿とも)の町娘って
よく見かけた感じですが、
黒い共衿をかけていたのは、
日本髪を整えるのに使っていた油が
衿について汚れるのを防ぐ、
あるいは目立たなくするためだったとか。

共衿で思い出したんですが、
2004年くらいだったか、
NHK「おしゃれ工房」で
「ミシンで縫う着物」を紹介したとき、
明治生まれで日常着が着物だった祖母が
裁縫の師匠だった私は、
当然のように共衿も「作った」んですが、
編集部の人に共衿を知らない人かなんかが、
確か、いて、
偉い和装の先生に確認しようということになり、
そしたら「共衿なんかつけない」と言われたと、
伝言されたことがありました。

当時は、ちょっと合点がいかず、
ヘンだなあと思ったんですが、
要するに、共衿は、
普段着の着物につけるものだから、
わざわざ「作る」着物に、
あらかじめ共衿まであるのはおかしい、
ということだったんですね。

けど、つけたっていいじゃねえか!

うちのおばあちゃんは、
102歳で死ぬまでほぼ着物でしたが、
共衿がわりに小さなスカーフを
いっつも首に巻いて、
衿の汚れや傷みを防いでました。

今、ふと思ったけど、
おばあちゃん、江戸っ子じゃないし、
アタシに似て(笑、
お風呂ギラいだったのかなあ。

そして、これまたドラマとかでよく見かける
「黄八丈」は、八丈島の絹織物ですね。

八丈島で作られていたから黄八丈なのではなく、
黄八丈のほうが長い歴史を持ったものらしく、
八丈島という名前の由来とも言われるくらい
古くから作られていた織物のようです。

コブナグサ、タブノキ、シイという
八丈島産の草で染めた
黄色、樺色(赤茶)、黒色の三色で
格子や縞の模様を手織りしたものが
本物です。

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ちなみに、
黄八丈は東京の伝統工芸品

「黄八丈風」ってのはわりとあるけど、
本物の黄八丈は、リサイクル品でも
高価なんですねえ。

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