コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第176回 裁縫するオンナにも性格の悪い人はいる

拙著『裁縫女子』(リトルモア)には
世界初な点がいろいろあるのだが
(誰も言ってくれないので自分で書く)、
そのひとつが、
裁縫するオンナにも性格の悪い人はいる、
とハッキリ描いた点じゃないかと思う。

本を読むオンナに性格の悪いオンナがいるように、
裁縫するオンナにも性格の悪い人はいる。
そんなあたりまえのことが、
なぜか裁縫するオンナに限っては
ほとんど描かれてこなかった。

いや、もちろん、
裁縫するオンナは暗い、ダサい、気持ち悪い的なことは
「裁縫の本」以外では書かれたり言われたりしている。

でも、裁縫の世界では、
裁縫するオンナ=イイ人ってことになってた。
この構文は、女性=平和に置き換えてもいい。

私は「平和」って言葉がなんだか嫌いだ。
平和って言葉は何かを隠してる匂いがするもの。
そういえば、先日の投書ちゃんも
平和って言葉を使ってました。

2chの洋裁スレは普段は平和な掲示板なのだが、
ワタナベさんが登場すると荒れる、
だからワタナベさんが独立した、とかって、
まるで私が2chの洋裁スレを荒らしてたみたいな書き方で、
わけがわからんかった。
アンタらが勝手にワタナベさんの悪口を書きまくって
盛り上がるから生あったかい掲示板を
独立させて作ったんだろうが。
出版社社長が読むに足る内容を書けよ。
ウソばっかしで、まったくもお。

批判されてこそはじめて文化だ、
と言ったのは誰だっけ。
批判されてこそはじめてメジャーだ、
みたいことも誰か言ってた気がする。

閉じた世界にずうっと平和に住み続けた人たちは
批判されるとビックリする。
ビックリして怒っちゃうくらいその世界がマイナーだった、
タブー視されてた世界だったことには気付かない。
いや、気付こうとしないのかな。

裁縫するオンナは長い間、タブーな存在だった
と私は思っている。
タブーを破って、事実は事実として描かないと
裁縫するオンナはいつまでもタブーな存在のままだ。
私は自分が裁縫するオンナだからこそ、
タブーな存在に落とし込まれたままはイヤなのだ。

これまで、裁縫するオンナは、素敵な人、イイ人、
ほっこりした人みたいな感じでしか
描かれてこなかった。

手作りブームの最近というのか、
3.11以降というのか、
そういう描かれ方が加速しているように思えて
ものすごく気持ちが悪い。
なんで気持ち悪いかっていうと
そんなのウソっぱちだからだ。
ウソつくときは何かを隠したいときだ。

裁縫するオンナはイイ人、みたいなのって、
年齢差のある男女の子供で遊ぶときに
最年少の女の子がハンデつけられて
特別扱いされるみたいな感じじゃない?
いや、最年少とか女の子って特別扱いなら
まだマシかあ。

裁縫するオンナはイイ人、っていうのは、
裁縫する人は下層の人種、
差別はよくない、彼女たちの事実を暴いちゃいけない、
彼らはタブーなんだよ、
彼女たちの仲間にもフツーの世界と同じように
性格の悪い人がいるなんて
決して言っちゃいけないのだよおおおおお、
みたいな感じで、
フツーの人枠に入れてもらえず、
特別枠に入れられてるみたいな気がします。

で、もっと正直に言うと、
裁縫するオンナはイイ人、っていうのは、
オンナは劣った生き物だから特別枠、
いやもっと言うと、
ビンボーな家に生まれた奴は永遠にビンボーだから別枠、
みたいな言われ方と同じような気がしちゃうんだよね。
いや、いいよいいよ、
無理しないでそこで裁縫やっててくれて、
って言われてるみたいな。

 
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(発行:日本文芸社
 企画:エム・エム・クリエーション
 編集協力:ツルシカズヒコ
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ココログ「服を買わない生活」から。

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【『裁縫女子』(リトルモア)のインタビューなど】

雑誌『hito(ヒト)』3号

「サイゾーウーマン」

●歌人の枡野浩一さんとのユースト対談↓
http://www.ustream.tv/recorded/12750111

●写真家の大野純一さんとのユースト対談↓
http://www.ustream.tv/channel/ohnojunichi

●文筆家の近代ナリコさんの『裁縫女子』(リトルモア)書評↓
http://bit.ly/fHvj35

●『裁縫女子』は↓で最初の4ページが読めます(無料)。
http://xfs.jp/yVaxt

●YouTube 「クレヤン放送局」は↓
http://www.youtube.com/user/watanabe3kou