週刊ポチコラム:ポチことツルシカズヒコが雑誌批評などを書きます

vol.13『平凡パンチ1964』

『平凡パンチ1964』

赤木洋一著『平凡パンチ1964』(平凡新書)を読んだ。
クレヤン11号の記事を書くために再読したのだった。

赤木洋一さんは1936年生まれ。64年に平凡出版(現マガジンハウス)に入社。『平凡パンチ』『平凡パンチデラックス』『アンアン』の創刊スタッフを務め、『アンアン』や『ハナコウエスト』の編集長に就任。広告局次長、大阪支局長なども務め、98年に代表取締役社長に就任、02年に退社している。

『「アンアン」1970』(平凡新書)という著書もある赤木さんは、
38年間、マガジンハウスに勤務したわけである。

『平凡パンチ1964』は、
60年代の時代検証として優れているし、
日本初の「若い男性向けの週刊誌」の編集現場を、
活写しているその筆致も冴えている。

雑誌編集者の視点からすると、
いい時代だったなぁ〜、
平凡出版はなんていい出版社だったんだろ〜、
というひと言につきてしまうのだった。

このあたりですでに日本の雑誌文化は頂点に達していて、
(いや正確には日本の男性誌の文化か?)
その後はしょせん祭りの後で、
30年ぐらいかけてゆっくりと下降線をたどっていったのだと、
という認識も改めて抱いた。

『平凡パンチ』創刊から30年後、
1994年、僕は『週刊SPA!』の編集長だったのだが、
当時の『週刊SPA!』を『平凡パンチ』の再来と、
評する声もあった。

そのあたりは興味深いのだけれど、
『パンチ』と『SPA!』と決定的な違いは、
平凡出版という盤石な出版社と扶桑社という脆弱な出版社、
版元の違いだろうか。

ともかく、日本の雑誌史を考える意味で貴重な本です。

最後に、ちょっと苦言を呈します。
赤木さんはマガジンハウスの社長にまでなった方ですが、
現在のマガジンハウスの衰退を招いた、
責任は感じておられるのだろうか?