ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

『anan』の遺影

ちょっと早起きして、午前中、京王線八幡山の大宅文庫に行った。
帰途、八幡山駅に向かう途中の古雑誌屋さんで、
『週刊SPA!』1991年9/4号を買った。
この号を僕は所持していなかったからである。

『週刊SPA!』1991年9/4号

『週刊SPA!』1991年9/4号

この号の『ニュースな女たち』(撮影:篠山紀信 文:中森明夫)は、
『anan』編集長の淀川美代子なのである。
カラー頁なのだがモノクロフィルムで撮影した写真がいい。

特に雑然とした編集部を背景に淀川美代子が立っている写真がいい。
デスクの上に紙が散らばり、床にもananのロゴ入りの紙袋が置かれ、
天井からはananのプレートが下がっている。

午前中に撮影したのであろうか、編集部には誰もいない。
右手に『anan』を持った淀川美代子がただひとり、笑顔で立っている。
なんだか『anan』の遺影のようだ。

僕が雑誌編集者になった1980年代初頭、
『anan』は雑誌界の頂点に君臨しているような雑誌だった。
平凡出版からマガジンハウスに社名を変えたのは1983年だったか。
雑誌がイケイケの時代だったからであろう。

しかし、今、
マガジンハウスという社名を変えるわけにはいかないですよね。
篠山紀信が1991年の時点で、今を予想して、
『anan』の遺影というかマガジンハウスの遺影を撮っていたとしたら、
やっぱり、篠山紀信という写真家はタダ者じゃない。

『週刊SPA!』の名物連載だった、
「ニュースな女たち」に関するインタビューは、
クレヤン8号(中森明夫)とクレヤン10号(義江邦夫)に掲載。