ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

百年後に漱石をこう読みました


宮﨑かすみ著『百年後に漱石を読む』を読みました。

主に論じられている作品は
『それから』『門』『心』
『吾輩は猫である』である。

漱石の作品の読み解き方も
いろいろあるのだろうが、
「男の同性愛」がキーワードのひとつに
なっているのは間違いない。

そこが面白かった。
尋常でないこだわりが。
研究書としてクオリティが
高いであろうのに。

読み進むにつれて漱石は
同性愛者だったのではないか
という疑念が濃くなり、
この本はそれを実証するために書いた
とも思えてくるのだった。

しかし、そんな下衆なテーマで
本書が書かれたわけではないのある。

ではなぜ漱石は男同士の同性愛的
なものにこだわったのか。

その理由のひとつは
オスカー・ワイルドにあったのではないか。

ワイルドは同性愛行為の罪で
2年間服役し『獄中記』を著した。
漱石はこの『獄中記』を熟読し
詳細な書き込みをしていた。

19世紀末、ヴィクトリア朝期の
イギリスでは同性愛行為は犯罪だった。
性行為は男女間のみOK
という規範だったわけです。

なぜかというと、そうしないと
「近代国家」のベースが崩れるから
(その理由は長くなるので割愛)。

そういう規範を逸脱したワイルドは刑に服し、
社会的にも抹殺されてしまった。
当時のイギリスでは同性愛者は
「退化」した人間だから、
社会的に抹殺すべしというのが
国家的、一般的な認識だった。

ところが、明治期の日本において、
男色は法律で罰せられるものではなく、
それどころか男色は
日本の伝統文化という認識さえありました。

で、漱石はおそらくこんな思考をしたのでしょう。
ワイルド=男色=日本はイギリスを代表とする
西欧近代国家に抹殺される。

その危惧が漱石にワイルドへの興味を抱かせ、
そして男同士の同性愛的なものへの興味を
抱かせたのであろう。

つまり、同性愛というマイノリティを
排除する近代国家的なものへの
批判だったと考えられる。

百年後に私は漱石をこう読みました。

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