ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

瀬戸内寂聴全集

図書館から借りていた『瀬戸内寂聴全集12』(新潮社)、
読み終わりました。
760頁ほどの分厚い本なんですが、分量もさることながら、
内容も読み応え十分。

「美は乱調にあり」「諧調は偽りなり」の2作品が収められていて、
伊藤野枝にスポットを当てているのですが、
その他、多士済々の人物が登場、当時の時代が活写されています。

ここ数年で読んだ本の中では、ピカイチの重い読後感でした。
瀬戸内さんが「解説」の中で、こんな逸話を披露しています。

〈まだ坂本龍一さんが二十代の時、対談したら、
「ぼくは高校の時、瀬戸内さんの『美は乱調にあり』と埴谷雄高さんの『不合理ゆえに吾信ず』を読んで、よし、この二つで何でも出来ると思ったんです」
と言われ、笑ってしまった。〉

僕は五十代になって、
「美は乱調にあり」と「諧調は偽りなり」に出会い、
高校時代の坂本さんの心境になっています。