ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

『女優 岡田茉莉子』再読

午前中、クレヤン編集部にキャノンさんが来訪。
こういうご時世なので、
複合機のリースの経費を削減したいという交渉をしました。
先方も契約を解除されては困るのだから、
そのへんの話し合いをしたわけです。

閑話休題(懐かしい表現ですねぇ〜)、
昨夜、クレヤン編集部は『晩春』『麥秋』に引き続き、
小津安二郎の『秋日和』を観ました。

『秋日和』はカラー作品で、
小津のモノクロ映画に慣れた感覚で観ると、
ちょっと違和感があります。
原節子が爪にマニュキュアを塗ってるところとか。

『秋日和』には司葉子のコミック・リリーフとして、
岡田茉莉子が出ているんですが、
『秋日和』は岡田さんのための映画と言っていいほど、
岡田さんの演技が光っています。

クレヤン11号の特集に関連していることもあって、
岡田茉莉子著『女優 岡田茉莉子』(文藝春秋/写真)、
再読し始めました。

さて、吉田喜重監督の岡田茉莉子さんへのプロポーズの言葉は、
「これからも私と、一緒に歩いてくれませんか」。
それは人生をともに歩むと同時に、
ふたりで映画をつくりながらともに歩くという意味である。

ふたりが新婚旅行から帰って来た直後、
吉田監督は松竹の方針と齟齬を来たし、
松竹を辞めることになるのだが、
岡田さんも即座にこう言うのだった。
「それじゃ、私も辞めます。あなたと一緒に、独立します」

このシーンを読んで、涙が流れてきた。
僕も曲がりなりにも出版業界を「辞めた」人間です。
そのことで、出版業界で順風満帆に仕事をしていた、
コウの仕事が激減した事実はあったと思う。

僕がクレヤンを作っているモチベーションのひとつは、
コウに対する義理人情を果たしたいからです。