ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

吉行淳之介著『スラプスティック式交友録』

上北沢図書館で
吉行淳之介著『スラプスティック式交友録』(角川書店)、
という本を借りてきました(写真)。

初版発行が1974年。
この本、今から30年ぐらい前、購入した記憶があります。
古本屋さんに売ってしまったのは今から13年ぐらい前だったか。

今回、この本を借りたのは、
辻潤というダダイストについて調べていると、
この本に辻潤の記述があることを知ったからです。

その記述、ありました。
吉行淳之介が高等学校休学時代に、
市ヶ谷の実家に辻潤が訪れた話が記述されています。
さすが吉行淳之介という、絶妙なエッセイでした。

吉行淳之介の父、エイスケがダダイストで、
辻潤とエイスケが友人だったわけで、
エイスケの死後、辻潤が旧友の家を訪れたという話なんですが、
その記述がさすが吉行淳之介なのである。

久しぶりに吉行淳之介の文章を読み、
なんだか心が洗われるような心境になった次第です。

しかし、この『スラプスティック式交友録』、
30年ぐらい前、繰り返し読んでいたはずなのに、
辻潤という名前に、当時、なんの関心もなく、
スルーしていたことに気づきました。

もし僕がクレヤンという雑誌を作っていなかったら、
一生、辻潤を知る機会はなかったでしょう。
雑誌を作る喜びというのは、そういうことなんだと思います。

今、雑誌が売れない、売れる雑誌を作るにはどうすれば、
ということを考えるより、
雑誌を作るおもしろさを多くの人に知ってもらいたい。
クレヤンを作っている理由のひとつには、それがあります。