ツルシ カズヒコ

詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第293回 婦人労働者大会

「詳伝・伊藤野枝」第293回 婦人労働者大会文●ツルシカズヒコ 第一次世界大戦の講和会議によって創設されたのが国際労働機関(ILO)だったが、その第一回国際労働会議が一九一九(大正八)年十月二十九日、ワシントンで開催されることになった。 そ...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第292回 東京監獄八王子分監

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年十月三日、懲役二年の刑を終えた神近市子が東京監獄八王子分監から出所した。 『読売新聞』が「淋しい笑顔を見せつゝ 神近市子出獄す」「好物のバナナを携へて露国の盲目文学者などが出迎へ」という見出しで報じて...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第291回 ソシアルルーム

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年九月二十四日、延島英一が巣鴨監獄から出獄、大杉の家に同居して労働運動社社員になった。 延島は五月に吉田一と銭湯に行く途中、小石川署巡査を尾行と見て暴行し、懲役三ヶ月を科せられて服役していた。 野枝は『...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第290回 出獄の日のO氏(二)

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年、第六回二科展は上野公園の竹の台陳列館(現在の上野公園噴水付近)で開催された。九月二日から一般公開だったが、林倭衛が出品した「出獄の日のO氏」が問題となった。 八月三十日に警視庁の事前検閲があり、検事...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第289回 出獄の日のO氏(一)

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年八月八日、大杉は東京監獄から野枝に第二信を書いた。 シイツがはいつてから何にもかもよくなつた。 あれを広くひろげて寝てゐると、今まで姿の見えなかつた敵が、残らず皆んな眼にはいる。 大きなのそ/\匐つて...
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「詳伝・伊藤野枝」第288回 外濠

「詳伝・伊藤野枝」第288回 外濠文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年八月四日、東京区裁判所で大杉の巡査殴打事件の初公判が行なわれた。 『日録・大杉栄伝』によれば、野枝や荒畑ら同志三十余名が押しかけたが、傍聴席には付き添い(尾行)の刑事...
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「詳伝・伊藤野枝」第287回 柿色

文●ツルシカズヒコ 野枝が大杉に面会したのは一九一九(大正八)年七月二十二日だったが、彼女は七月十九日か七月二十日にも警視庁に来て吉田一(はじめ)に面会している(「或る男の堕落」)。 吉田は電気料不払いのために切られた電線を接続して電気を窃...
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「詳伝・伊藤野枝」第286回 警視庁(三)

文●ツルシカズヒコ 「だからさ–––」 大杉は少しでも呑気に刑事部屋にいられるのを楽しむように、意地の悪い微笑を含みながら、ゆっくりと話し出した。 「つまり、君の言う主義というのは、四、五年前に僕のところで話したのと違ったわけじゃないんだろ...
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「詳伝・伊藤野枝」第285回 警視庁(二)

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年七月二十二日、野枝と村木が警視庁を訪れ刑事部屋で大杉と面会をしている、ちょうどそのとき、ひとりの異様な男が刑事に付き添われて入って来た。 薄い髪の毛を襟のあたりまで長く伸ばし、真ん中から分けていた。 ...
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「詳伝・伊藤野枝」第284回 警視庁(一)

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年七月二十一日、大杉は警視庁に傷害罪の容疑で拘留された。 二ヶ月前の船橋署の尾行刑事殴打の一件を蒸し返されたのである。 警視庁の警務部刑事課長・正力松太郎の執念である。 大杉は警視庁に二晩泊められ、七月...
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「詳伝・伊藤野枝」第283回 正力松太郎

文●ツルシカズヒコ 一九一九(大正八)年七月十八日、昼近くになっても大杉たちは築地署から帰ってこなかった。 昼ごろ、野枝は日比谷の警視庁に行き特別高等課長に面会し、大杉たちがまもなく帰されることを確認した。 午後二時すぎころ、大杉たちはみん...
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「詳伝・伊藤野枝」第282回 築地署(二)

文●ツルシカズヒコ 野枝は魔子をしっかりと背負い、服部浜次の次男・麦生と、うまく逃れて来た若い同志の寺田鼎(かなえ)を連れて服部浜次の家を出た。 野枝たちは途中、おおぜいの検束者への食べ物の差し入れを調達し、走るように築地署に向かった。 面...