コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第608回 「ポエム化」の裏にあるもの


昨日のNHK「クローズアップ現代」
「ポエム化」の裏にあるもの
たまたまテレビつけたらやってたから
見ちゃった。

長くなりそうなんで、
先に要旨を書いておくと、
自殺しようとしている人に
自殺するまでを撮影させてください、
って言って撮影させてもらい、
自殺シーンまで撮影して、
「残念でしたねえ」って
コメントしてた番組、
というのがアタシの率直な
今日時点での印象
(時間おいたら変化するかも)。

番組は、
相田みつをみたいな「ポエム」がいま、
低賃金長時間労働の職場で
流行っている、
という話なんだけど。

その「ポエム」に
泣いたり笑ったりする若者の姿は、
まさに、アタシたちが20代のころに
流行った「自己啓発セミナー」
(というか、ベトナム戦争後の
アメリカで流行ったのが最初らしいんで
1970年代に流行ったと言うべきか)。

まあ、あくまでアタシの印象だけど。

ちなみに、
アタシも20代のときに友人に誘われて
「自己啓発セミナー」にいちど
参加したことがある。

初回の説明会みたいのに
1時間ほどいただけだったが、
「自分には必要なさそうだから帰らせてほしい」
と言ったときの
自分以外の人々の「不謹慎をなじるような視線」と
あの場の一種魅力的な雰囲気は
今でも思い出せる。

それと、
某会社が社員研修と称して行なっていた
「自己啓発セミナー」での体験によって
精神に変調をきたし、
自殺した知人もひとりいる。

まあ、その子も、
もともとそういう子だったと
片づけてしまうこともできるし、
「自己啓発セミナー」を体験した人って
わりと少なくないだろうから、
死なずにむしろ楽しく生きている人
のほうが多いだろう。

けど、だから、
「自己啓発セミナー」は、
人間を幸福にするものだ、
と言っていいとは思わない。

いや、
言っていいのかもしれないけど、
そうすると、じゃあ、
幸福って何、
ってことになるんだわね。

「私はいままでダメ人間でした」とか
「私は病気です」とか告白して泣く→
幸福感を得る、
で根本的な問題から目をそらさせ
一時的(ひとり分の一生を一時的と言ってもいい)に
幸福だと感じさせる「宗教」は
昔からあるんだろうし、
必要としている人が多数派なら
それが「真理」だ、
という考え方もあるでしょう。

いや、そんなことよりもアタシは、
どう説明して取材依頼したのか、
に興味がある。

番組の3分の2くらい
(実際の時間というより印象)は、
当時者たちへの取材シーンだった。

彼らはNHKに取材されたってことで、
友人知人に「テレビに映るんだよ」って
言いまくるよねえ。

番組制作者に「批判」の意図があれば
なおさらそういう説明を
「正しく」説明しなかったのではないか。

もしくは、
「ポエム」にハマる人たちを
「下位」(簡単に言うと「ばか」)に位置づけ、
「下位」の人たちには
「批判」だと理解できない巧妙な説明で
取材依頼がなされたかもしれない。

というか、
そういう「上下」感を感じた点も
あの番組を見た後味の悪さのひとつ。

あのコメントのゆるさも、
取材に応じてくれた当事者に
批判の意味が通じなくとも
ある一定以上の階級の人々
(簡単に言うと「インテリ」)に
通じればいいという感じがして
ヤだなと思った。

小田嶋氏が、
「ポエム」のあいまいさを指摘していたが、
あいまいさをあいまいなまま
受け入れて幸福感を得る人たち向け
(簡単に言うと「テレビの主な視聴者層)に
わざとあいまいな批判で番組作りを
してみせたのだろうか。

それとも、テレビって
ずっとあんな感じだったっけ?

ある意味「ダマシウチ」して
取材依頼したのではないかというのが
単純な推察なのだが、
ダマシウチした取材VTRを見せられて、
コメンテーターの人々はどのツラ下げて
批判的なコメントすんのか、
そのあたりを確認したいわと思い、
とうとう最後まで見てしまったのだった。

そしたらさあ、
バイク便でのバイト経験があるとかいう
(バイク便と居酒屋や介護士は
ずいぶん違うと思うが)
某大学準教授なんか、
もお、ヘロヘロのユルユル之助よ。
あとで自分で「さっきはゆるく言った」
とかなんとかフォローするありさまだよ。

まあ、
大学準教授だから「きちんと」発言するはずだ
なんて「期待」のほうが
いまどき笑われるか。

大学は高等教育機関ではなく、
サービス業で、
「ポエム」に信仰する若者が
「主な顧客」だもんね。

コラムニストの小田嶋さんは、
大学準教授よりは
「きちんと」コメントしてたが、
それでもかなりゆるかった。

あれは、
テレビ見てる人はばかだから、
の前提に立ったコメントなの?

番組見たあとで
HPの番組説明を読んで
批判の意図はあることはあったのだなと
ようやくわかったけれど、
前情報も後情報もなかったら、
あの番組が何を言いたいのか
まるでわからなかったよ
(アタシがばかだから?)。

テレビは「何をコメントするか」が
注目されるものではなく、
コメンテーターが美男子が不細工か、
服装がかっこいいかダサいかのみが
「見られる」メディアだと言われるが、
それが正しいとすれば、
あの番組は全体の「印象」として
「ポエム」によって
低賃金長時間労働者は救われていること
しか「見え」ない番組だったと
言ってもいい。

番組案内には
「それを批判することは
不謹慎だとされてしまう風潮」
とか書いてるが、
おめえらが「不謹慎」を恐れた
ゆるいモノ言いで
逃げてんじゃねえかよっ!

とアタシは、
思わず小さな心の中で
つぶやいていたのであった。

あー、
普段テレビって見ないから
たまに見ると面白いですわ(笑、
まさに、上から目線)。

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