コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第801回 ファストファッション クローゼットの中の憂鬱


Uさんは、
本好きのアタシのために
新聞の書評の切り抜きを
よく持って来てくれるんですが、
今日の手芸部では、
『ファストファッション
クローゼットの中の憂鬱』
(エリザベス・L・クライン著/春秋社)
って本を教えてもらいました。

書評によるとアメリカでは、
服の単価が安くなるのに反比例して
購入点数が増え、
過去20年間での年間購入数は倍、
それにともない繊維ゴミは約10年で
4割増加したんだとか。

みなさんご存知のように、
私は既成服(下着類のぞく)を買わずに
生活してるわけですが、
別にゴミを出したくないからじゃ
ありません。

前に鶴見済さんの『脱資本主義宣言
グローバル経済が蝕む暮らし』(新潮社)
を読んだんですが、

鶴見さんは今後新しい服は買わずに、
手持ちの服を修理して着続けたい、
と書いていました。

衣料品のゴミ問題の対策法としては、
そんな感じになるんでしょうが、
それでいい人はいいんだけど、
「おしゃれ」が好きな人は、
環境のこと考えない下等な人間ってことに
なるのかなあ、と思ったりします。

っていうか、
ファッション産業は
資本主義経済に最も適した産業
にもかかわらず、
いや、だからこそ、
広告代理店とか社会学者あたりの
「庶民」を観察して本書くような人々にとったら、
「おしゃれ」が好きな人というのは、
「社会的な女性」、
つまり「下等」だって認識が
正直なところだと思います。

環境問題とか資本主義とか
ファッションとかの問題じゃなくて、
あらゆる問題の根は、
誰が主導権を握るか、
つまり、どっちが上でどっちが下か、
自分は上になりたい、
ってことなんだよね。

そこをわかってるカシコイ人々は
大昔からいて、
だからこそ「上」にいたがる。

けど、それをハッキリ言わないで、
善良さの強要で、
「下」を「教育」しようとするんで、
あらゆる問題は解決しない。

戦争はじめるときの常套文句
「現地に暮らす人々の保護」
ってやつですよ。

既成服の究極の形とも言える
ファストファッションの真の問題は、
ゴミを生み出すという環境問題に
あるんじゃない。

誰の中にも美感が存在するのだ
という事実を隠蔽する点に
あるんじゃないかと私は思います。

そして、それが
資本主義やグローバリズムの悪い点であり、
その中心にいる存在にとったら
利点なのです。

(うわー、ウィリアム・モリスに
なってきたかー(笑)

美感(この単語が適切かはともかく)とは、
絵画のどこがすばらしいかわかる、
ってようなことじゃなくて、
自分が、
どんな肌触りを心地いいと感じるか、
どれだけのゆとりを好ましいと感じるか、
どの色が好きか、
どんな服を着たいかを感じ、
主張する力です。

どんな服を着たいのか、
自分の頭で想像し、
自分の手で形作る過程で
自分の美感に気づいていく、
その行為を既成服は奪う。

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10月21日(火)13:00〜14:30
和光大学ジェンダーフォーラムで
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