コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第1106回 衣食住ともに自分の自由な趣味に応じて営むことが出来るならば




手芸部のFさんに借りて、
『フランス人は10着しか服を持たない』
を読みました。

いいことが書いてあるとは思うけど、
売れてるってことは、
改めて、
「生活」を楽しめてない人が多いんだなあ、
と感じました。

今日のところは、長くならないよう、
ざっくり書くつもりですが、
「生活」が大事だ、って部分は同感です。

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「伊藤野枝1895-1923」の絵を描くのに
本、読んでいると、
っていうか、
夏目漱石の小説読んだってそうなんだけど、
近代化されて以降の問題が
ずうっと「生活」なのね。

日本だけじゃなくてイギリスでも、
たぶんドイツでも。

フランスやイタリアのラテン系の地域は、
戦争とかもいい加減にやってたわけだし(笑、
まあ、ずうっと「生活」をいちばん大事に
考えてるんでしょうね。

だから、ラテン系は、いまいち「貧しい」まま
ってこともあるんだろうけど。

ただ、だからって、
フランスはフランスで、
日本は日本だしね。

っていうか、自分は自分だしね。

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伊藤野枝に熱く愛を訴えた木村荘太
という作家がいるんですが。

彼が、実弟で画家の木村荘八と、
「智恵子抄」の高村光太郎と、
「麗子像」の岸田劉生と、
『生活』(前は別の名前)という雑誌を
作ってた、っていうのなんか、
その雑誌の中身を見たわけじゃないけど、
いきなり近代になった社会を
彼らは生きたわけですから、
そりゃあ、その苦しさは、
現代の私たちの比ではなかったろうと。

それで、あれこれ考えた結果、
そうだ、生活だよ、生活!
って名前にしよう、
ってなったんだろうと思います。

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絵を描いたりする人は、
美しいモノが好きなわけですよ。

「生活」を楽しむ、
を最も簡単に言うとしたら、
美しいものを堪能できること、
かもしれません。

近代化した社会では、
自分が欲しいと言ったわけでもないのに、
美しくないモノを大量に作って
欲しいだろ、欲しいだろ、って
売りつけてくるわけですよ。

安いから買う、そうすると、
家の中に醜いモノがあふれかえる。

そうして、何が美しく、何が醜いか、
わからなくなる。

美しいモノには歴史がありますから、
そういう歴史にも関心持てなくなるわけです。

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リバティ生地でご存知の
イギリスのウィリアム・モリスって人も、
そういう醜いモノがあふれる社会をイヤがって、
「生活に美を」と訴えたわけですね。

日本では柳宗悦とかの民芸派の人々とかも。

『暮しの手帖』なんていう雑誌も、
同じ系譜に当たるでしょうね。

けど、美しくて高価なモノを買わされるんじゃあ、
というか、買える人だけが
「生活」を大事にできても、
問題は解決しない……どころか、
今みたいに「格差」が今度は問題になって、
美がわかる人とわからない人の間で
コミュニケーションが成立しなくなると。

上質なモノを吟味して買って、
少なく所有して、長く持つ、
なんつったって、
吟味する目を大半の人が持ってないのに。

そうすると「吟味する目」を
買わされることになり、
結局、いつまでもたっても、
自分で美しいモノを判別できない。

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本日アップされた
「伊藤野枝1895-1923第156回台所」に、
〈衣食住、ともに自分の自由な趣味に応じて
営むことが出来るならば、私はそれだけで
充分享楽する事が出来ると思ひます〉
という野枝の言葉があります。

拙著『裁縫女子』にも、
野枝のセリフは引用しましたが、
彼女は、家事が楽しいってことに
気づいていたようです。

良妻賢母になるために
やらされる家事はつまらないけど、
自分の裁量で出来るならば、
家事は楽しいことだ、
創造的なことだ、
と言いたかったのでは。

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家事って語は適切じゃない気がするんだけど、
ほかに適切な語が見つけられないので、
家事という語を使いますが。

昨年10月に和光大学で講演した際、
『家事ハラスメント』の著者、
竹信三恵子さんが、
私の講演内容の紹介として、
「私たちは家事は楽しいものだということを
忘れていたんじゃないか」と言ってくれて、
あのセリフはいいなあと思いました。

家事は女だけがやらされるから間違ってる
とは思わないし、
男が主夫になっても「問題」は解決しないと
私は思います。

同じ感じで、
女が仕事を持って経済力をつければ
「問題」は解決するか、っていうと
そうじゃなかったことが、
今の社会が明白に示していると思います。

「創造的」である以外に、
「生活」を楽しむ方法はないんじゃ。

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