コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第457回 頭巾は裾が割ってあり

洋裁用語には独特な単語が多い。
和裁用語を土台にしているから、
ヘンだなあと感じる単語がものすごくたくさんある。

たとえば、「縫い代を割る」の「割る」。
「ここを縫い合わせたあと、アイロンで割って……」
なんていうふうに使うのだが、
「なんですか、割るって?」と聞く人はとても多い。

日本人に通じない日本語が、
外国人に通じるわけがない。

現在、コウ手芸部には、
パキスタン出身のMさんと、
フランス出身のFさんが参加中。

パキスタンは英語が公用語
(ってことを知らない人はわりと多い)だから、
「割る」が通じなかったとき、
Mさんには「divide」って言ってみた。
ホントに「divide」でいいのか、
ニュアンスが違う気がしなくもないが、
「divide」しか思い浮かばなかった。
そしたら、通じたみたいだった。

今日の手芸部でも、
Fさんに「割る」は通じず。
Mさんのときもジェスチャーつきだったのだが、
Fさんにももちろんジェスチャーつきで
「縫ったとこを割って」と言った。

ふたりとも日本語はかなり上手なのだが、
一般的に使わない日本語は通じない。
洋裁用語は非一般的日本語だから、
私は極力ジェスチャーつきで、
あ、もちろんだから日本人にも
ジェスチャーつきで教えるわけだが、
日本語がわかる人は、当然、
言葉としても理解しようと聞くわけで、
そのジェスチャーが
「割る」という単語とかみあわないから、
みなさん「は? ワル?」となるわけだよね。

つまり、
縫い代を割るという行為を
「割る」という単語で説明するのは
ヘンだってことなんでしょうね。

ちなみに、
フランス語はまるでわからないので、
Fさんには、ジェスチャーしたまま
「開く」って言い直したら通じました。
で、ふと思ったのが、
英語だと「open」のほうが通じる? とか。

洲之内徹の『人魚を見た人』に
画家・手塚一夫のことを書いた
「荒天出航」という一篇があります。

一夫の弟・手塚康夫氏が、
巣鴨プリズンの洗濯工場で働いていたことがあって、
絞首刑のとき囚人にかぶせる頭巾を洗うのが
イヤだったって話が書いてあるんだけど、
洲之内さんはその頭巾の写真を
『巣鴨』(実松譲著/図書出版社)という本で見たらしい。
〈頭巾は裾が割ってあり、紐が付いている〉と描写している。

私はすぐにその頭巾の形状が目に浮かんだんだけど、
洲之内さんは大正2年生まれ。
明治41年生まれの私の祖母より
5歳下の人です。

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