コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます
第7回 梨地織りのワンピース
織物三原組織とは、平織り、綾織り、繻子(しゅす)織り。
中学くらいの家庭科で習ったはずなんですが、
私もなんとなくしか覚えていません。
平織りは、木綿の反物やダンガリーシャツとか
ギンガムチェックとかの織り方で、表裏が同じに見える生地です。
平織りは洗うたびに柔らかくなって肌あたりがいいのが特徴。
綾織りはチノクロスとかツイルという名前で売られていたりします。
よく見ると表面に斜めの織り模様が見える生地です。
綾織りは丈夫で固めなのが特徴。
平織りや綾織りは、
普段着用のシャツ(ダンガリーシャツ)や
戦争用のズボン(チノパン)に使われるくらいですから、
とても丈夫な生地です。
3つめの繻子織りは、もともと普段着向きの生地ではありません。
繻子織りの特徴は光沢があること。
見た目重視の織り方なのです。
だから、丈夫という点で、平織りや綾織りに比べ劣ります。
繻子織りは高級品用というか、
特別なとき用に使われるための生地なわけです。
梨地織りは、写真のワンピースに使った生地ですが、
繻子織りの一種です。
梨みたいにブツブツした表面に見える生地です。
ブツブツと言っても凹凸があるわけじゃありませんけどね。
ちょっと光沢があります。
と言っても、ピカピカしてんじゃなくて、織りによる光沢なんです。
わからない人にはわからないだろうけど、そこがいい梨地織り。
正確にはちょっと違う織り方ですが、
梨みたいなブツブツした表面というのは、
オックスフォードシャツみたいってことです。
ユニクロとかで安売りするようになったから
本来の「お金持ち用シャツ」からいきなり
「そのへんのオヤジ用シャツ」に成り下がった、
あのオックスフォードシャツですよ。
ただのベタッとした無地色じゃなくて、
よく見ると2色の織り糸がブツブツに見えるでしょう。
そのへんの生地の微妙な織りの違いまでも分かるクラスの人が
着るシャツだったわけですよ、オックスフォードシャツって。
だから、ちょっとばかし、イヤミに見えるシャツでもあったわけですが。
価格破壊って、
そういう洋服の歴史もクソも同等にしていくことなんですねえ。
クイックソーインガーは、織りの違いのわかるオンナをめざせ!
写真のコーディネート・レシピ
【中に着た黒いカットソー】
ラグランTの衿を1枚ものにして12センチくらいに伸ばしてつけて、
タートルにしたもの。ウールジャージーで。
【カーディガン】
七分袖衿なしジャケットをムラ染めループヤーンの織り生地で。
【ワンピース】
タンクワンピースの丈を12センチ伸ばしたもの。梨地織りの生地で。写真ではわかりにくいと思いますが、微妙に光沢のある生地で、ただのベタッとしたグレーじゃないのです。メンズ用に仕立てるのが本来の使い方だと思うんですが、だからこそ、ワンピースに仕立てちゃうのがセンスなのだ! トラッドなデザインに向く生地だから、メンズ風のややワイドなパンツとかインバーティドプリーツスカートなんかにも向く。
※生地は完売しました。Thank you!
【バッグ】
クレヤン増刊6号2ページ、ウールのバッグ。