コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第6回 ペラッペラのフラノ

大阪の小野さんと

1〜2月の「山崎ミシン・ソーイング教室」の課題は、
ピーコート風ショートジャケットです。
この教室では毎回、カタログハウスのお店のスタッフが
アシスタントをつとめてくれるんですが、
今日は、スタッフを代表して、
カタログハウス大阪店の小野さんが作り方を教わりにやって来ました。

小野さんは裁断をすませてきて、1時間のランチタイムをはさみ、
11時から17時までみっちり作業。
写真のように、ボタンを1個つけたところまで終えました。
ナマイキにも、ボタンはくるみボタンよ!

さてモンダイは、小野さんの選んだ生地です。
色はとってもかわいいマスタード・イエロー。
写真ではわりといい感じのジャケットに見えますが、
ペラッペラのウール・フラノです。
1メートル980円。値段どおりとも言えます。

ウール生地の幅は150センチくらいが一般的です。
木綿は110センチ幅のがフツー。
およそウールのほうが1.5倍の幅があるわけです。

よって、ウールの1メートル980円というのは、
980×2/3=653.33332
木綿の生地にしたら、
1メートル650円くらいのものと考えてよいでしょう。

1メートル650円の木綿とはどの程度のものか。
ユザワヤやオカダヤなどの大型手芸店で売られている生地だと、
私のセンスでは、
気に入るものがほぼ見つからない価格帯です。
もっとカンタンに言うと、
1メートル980円のウール・フラノは「とても安い」ってことだけど。

私はよく「初心者ほど高価な生地を選べ」と言います。
ホントは高品質な、と言いたいのですが、
どういうものが高品質かを初心者にわかりやすく伝えるなら
高価なものということになります。
でもねえ、高価という単語はどうなのか。

だって、たとえば今回のピーコート風ショートジャケット、
150センチ幅のウールが1.3メートルあれば出来ます。
1メートル2,500円のウールを買っても3,250円ですよ。
それを「高価」と言っていいのかどうか。
使い捨て感覚で買う1,980円のフリースジャケットのほうが
私には「高価」って思えますけど。

よく「まだ下手だから安い生地でいい」と言う人がいるのですが、
これはウソです。そう言う人は、
服を自作して洋服代を節約したいだけなのです。
で、結局は「外には着ていけない服」を作り続けるパターン。
本質的にはケチではなく、浪費家なんでしょうね。
女は本質的に浪費家だけど。

小野さんの場合はお仕事なんで、
経費の範囲で材料をそろえなければいけなくて
しようがなかったわけですが。
写真で見るとちゃんとしたものに見えるんで、まっいっかって気もする。
でもなあ、わりとちゃんと縫えていたんで、
生地がもうちょっといい生地ならなあと思いました。

最後に小野さんがセンセに質問。
「今回の課題でいちばんむずかしいとこはどこですか?」
「生地選びです」
「ええっ……」
「生徒さんは教室に朝、やって来た時点で、いちばんむずかしいとこは終えてるわけ。成功するかどうかも縫う前にすでに決まっているのよ」