コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第925回 大正浪漫的漫画資料など


『伊藤野枝1895-1923』第31回湯殿
の絵を描きました↓

『伊藤野枝1895-1923』第32回湯殿 by ワタナベ・コウ on pixiv

最初のコマの建物は、
玉名館(ぎょくめいかん)という旅館↓
20141211_ill01

玉名館は『青鞜』研究者の間では、
幻のヴィジュアルだったのが、
『「青鞜」の火の娘
荒木郁子と九州ゆかりの女たち』↓で、
はじめて写真が発掘掲載されたそうです。

私もこの本↑を参考に描いたんですが、
写真をよく見たら
2階の左右に「戸袋」が写っています。
12月の夜の話なので雨戸は締めてみました。

なので、
全体に暗い色の建物になっちゃった。

明治時代の家屋や人間の写真は
ネット上にもかなり上がってますが、
『百年前の日本 モース・コレクション[写真編]』
と『ビジュアルワイド 明治時代館』は
ビジュアルが豊富で、かなり参考になります。

丸髷でマント姿の岩野清子↓も描いてみた。
20141211_ill02

丸髷は大正元年あたりだと
かなり古めかしい髪型です。

髷を作るのに利用する布は、
若い女性だと赤を使ったようですが、
岩野清子は野枝よりもひとまわり年上。
露草色の疋田絞りの絹布あたりを
使ってたんじゃないかと想像。

あと、上記コマでは、
紅吉と野枝の身長差にも注目してください。

野枝の身長は五尺(約150cm)ですが、
紅吉は166cmあったと伝えられ、
今の私と同じ身長ですから、
100年前の日本女性にしたら、
とびきりデカかったと思います。

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紅吉が「久留米絣にセルの袴」を好んだのは、
そういう性癖だったというよりも、
自分の大柄な体格を利点ととらえた工夫
だったとも考えられます。

ちなみに、着物や帯の色柄に関しては、
『KIMONO姫1 ことはじめ編』と
『KIMONO姫3 木綿キモノ編』を
参考にしています。

実際の「青鞜」の人々が
身につけていた着物や帯は、
かなり地味だったと思いますがね。

そして今回、
最も気合いを入れて描き、
かつ自画自賛で気に入ってる絵は、
荒木郁子が風呂上がりに持ち出して来て
野枝に見せたという化粧品↓

20141211_ill03
描いた化粧品の販売してる時期とかは
正確じゃありません。

明治から昭和初期にかけての
化粧品のプロダクトデザインは、
かなりかわいいので、
ネット上にもわりと上がってますが、
資料的に最も豊富なのは『浪漫図案』↓ですね。

そして、最後のコマの布団↓は、
大好きな伊勢木綿を念頭に置いて
描いてみました。

20141211_ill04

大正元年あたりは、
縞や格子の木綿の敷布に掛け布団
だったと思うんですが、
白いシーツがフツーになったのって、
戦後は確実だろうけど、
いつごろからでしょうね。

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