コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第1315回 2015年最後の「猫と蝶」と、胡蝶の夢




ピンクの雪が気に入ったので、
ピンクの雪を再び降らせて、
2015年最後の「猫と蝶」の刺繍が
完成しました↓

20151228_ph01

四角いバッグにでもしようかな
と考えていたんですが、
あまりにかわいく出来たので(笑、
額に入れて壁に飾ることにしました。

「猫と蝶」については、
コウコラム第1175回でも触れましたが、
司馬江漢、葛飾北斎、鈴木春信なども
描いた吉祥のモチーフ(文様)。

猫と蝶は、
どちらも多産であることなどから
古来、中国では、幸福と繁栄
(happiness and prosperity)を願う文様で、
日本の浮世絵画家たちも
同じモチーフに想いをこめた、
というわけですね。

という話などを書きながら、
ふと思い出したのは、
小村雪岱と「胡蝶の夢」の話。

「胡蝶の夢」とは、超ざっくりですが、
「今を生きろ!」(大杉栄言うところの「生の拡充」
なんだろうと私は理解しています。

「今を生きろ!」は、
日本人の特徴とも言われる
「今のことしか考えない」と似て非なるもので、
流行とかに惑わされず自分の頭で考えて行動せよ、
じゃないかと。

(間違ってるかもしれません)

小村雪岱(1887〜1940)のころは、
突然「美術」(別名、近代/別名、西洋画)
が外界からやって来て、
やれ遠近法はどうだの、
油絵じゃなきゃ絵画ではない!
みたいなことを「指導」された時代。

また、当時のジェンダー感覚から、
絵描きになる男性は、
よほど勉強ができないか、
なにか心身に欠陥のある人と理解されたようで
(横山大観(1868〜1958)の自伝で読んだ)、
自分らしい絵を描き、なおかつ、
100年後に残るような絵を描くというのは、
かなり大変だったことでしょう。

(ま、すべて今も同じ、か)。

そんな状況の中で、小村雪岱は、
「遠近法には興味がない。私は情緒を描くのだ」
(記憶にたよった大意)というセリフを残した人です。

確かによく見ると、
遠近法的には「ヘン」なんですが、
微妙なバランスを保って「美しい絵」に見えます。

「情緒」は、これまた悪い面での
日本的なものととらえられることもありますが、
「情緒」は「日本的美意識」ってやつなんでしょう。

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野枝ちゃんとの恋愛事件を起こした木村荘太
の弟であった木村荘八は、
この「日本的美意識」を、確か、
奇特の美、あるいは、奇異の美、あるいは、
不具の美、と書いていたと記憶しますが、
浮世絵なんかも同じですね。

と、めんどくさく書きましたが、
世界標準値である「西洋画」の科学的基準
からすると「狂っている」のに「かわいい」
というのが、東洋の美意識だっつうことでしょう。

今は、それが西洋にもウケてたりするわけですが
(100年前にも「未開」なものとしてウケていたわけだが)、
100年前に遠近法の狂った絵を描くのは、
「胡蝶の夢」的思想を持っていないと
できなかったかもしれません。

「近代」がやって来たが、どう生きればよいのか、
を「胡蝶の夢」という教養で生き抜いた、
ということでありましょう。

新しい年も「猫と蝶」の刺繍にハマる予定。

I wish you all a happy and prosperous New Year!

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