コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第61回 三日とろろ

大阪へ向かう新幹線の中では、
『昭和の遺書 55人の魂の記録』(梯久美子著 文春新書)
『人妻魂』(嵐山光三郎著 マガジンハウス)
を読みました。

『昭和の遺書 55人の魂の記録』では、
マラソンランナー円谷幸吉の遺書がいちばん泣けました。
すごく有名なんで何度も読んだことがあるものだけど、
やっぱり名文、と言っていいのかどうかわかんないけど、
具体的な言葉と平易な言葉で
お礼をくりかえす遺書ってスゴい。

新幹線の中でジワンときたからやばいと思い、
別のページへ飛んで、
夜ホテルで改めて読んで泣きました。
そうまでして泣かなくても、って感じだけど。

円谷幸吉は、
昭和39年の東京オリンピックで銅メダルをとった人で、
期待されたメキシコオリンピックの年が明けた
昭和43年1月9日に自殺しました。

〈父上様母上様、三日とろろ、美味しうございました。〉
ではじまる遺書ですが、「三日とろろ」って、
円谷幸吉の出身地、福島県須賀川市周辺で
新年の三日に食べるとろろ汁のことだというのは
はじめて知りました。