第880回　ウィリアム・モリスのマルクス主義

コウコラム：「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第880回　ウィリアム・モリスのマルクス主義

2014-10-29（水）

『ウィリアム・モリスのマルクス主義
アーツ＆クラフツ運動を支えた思想』
（大内秀明著/平凡社新書）を
読了しました。

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本書の冒頭も
「モリス・グッズを愛好する
中高年の女性は多い」のに、
モリスが社会主義者であり、
マルクス主義者であることは
あまり知られていない、
という内容ではじまるくらい、
ウィリアム・モリス（1834~1896）は、
リバティ好きには有名な名前ですね。

拙著『裁縫女子』にも登場させた
アーツ＆クラフツ運動を主導した人物
でもあります。

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まあ、確かに、
モリスの思想になんぞ
これっぽっちも興味ない
日本の中高年の女性に
消費されてるリバティ生地って
何なんでしょうね。

モリスが批判した近代文明を
享受しているのが「リバティ族」
なわけだし。

と書くと、
コウ手芸部にはリバティ生地を
持って行ってはいけない、
と誤解する人がいるんですが、
そういうことじゃないんですよ。

「リバティ好き」という現象について
考えるのが好きなだけ。

アタシも、モリスのデザインを復元した
リバティ生地は美しいと思っています。
ま、それとこれとは別って話ですよ。

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社会主義者というのか思想家としての
モリスについて最初に読んだ本は、
新書版の『ウィリアム・モリス
ラディカル・デザインの思想』でしたが、
『ウィリアム・モリスのマルクス主義』は、
マルクス経済学者である著者が
マルクスの『資本論』のモリスの解説を
ざっくりと書いてる部分が
面白かったですね。

日本で最初に紹介された『資本論』は、
モリスの解説本だったらしい。

って、マルクスの『資本論』なんか
読んでないけど。
読む気もないけど。

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しかし、
資本主義の仕組みについてのなるほどは、
この本読む前よりはちょっと
深まったような気がします。

「（女でも）4年制大学を出て、
企業に就職して、給料もらえば
本当に幸せになれるのだろうか？」
という疑問を10代のころから抱き続けて
ここまでやって来た私ですが、
100年前からあれこれ策を考えてた人が
いっぱいいたにも関わらず、
どうやら100年前と生きづらさが
ちっとも変わってないらしい、
というのはなんでなんだろう、
という疑問も改めて深まりましたね。

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同時代のオスカー・ワイルドや
オーブリー・ビアズリーとは
一見、同じ「美」を追及した人
のようでありながら、
モリスは、ワイルド、ビアズリーを
嫌悪したようだし、
それから、
モリスの奥さんが
友だちの画家とデキちゃった話とか
そういうことのほうにも
興味あったりしますが、
今回読んだ
『ウィリアム・モリスのマルクス主義』には、
そんな話、出て来ませんよ、もちろん。

あ、この本にはちょこっと登場します↓