コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます
第1422回 妄想先行で買った生地と rose bud
裁縫初心者、というか、
まだひとつもモノを作ったことがない、
いや、
まだひとつもモノを完成させたことがない、
という人でも、
生地だけは買って持っているもんですね。
正確に調査したことはないんで、
その「癖(へき)」が
どの程度メジャーなのかは知りませんが、
わがコウ手芸部にやって来る「初心者」の99%は、
その「癖」を持っていますね。
カツラギ(葛城) 綾織 花柄/薔薇/ローズ コットンプリント生地 【1M単位】 |
自称(笑)在野の女性史家としては、
それらの生地を見せてもらうだけでも
おおいに「研究」が進む。
妄想先行で買って所有していた生地には、
ひとりひとりの物語があるからです。
コウ手芸部に参加する人たちには、
しばしば、「コウ先生には
自分のことを話したくなる妙な力がある」
と言われるんですが、
その妙な力は、
アタシ自身が発する
ヘンな(笑)力というよりも、
みなさんが妄想先行で買って所有していた
生地のほうにあるような。
【花柄 生地】綿麻キャンバス オールドローズ 2(9043) 花柄模様 生地 花柄プリント |
アンドルー・ゴードン著
『ミシンと日本の近代』の中で、
著者(1952年生)が同僚から
〈ミシンというのは映画『市民ケーン』の
あの〈バラのつぼみ〉のような、
母の思い出につながる品だった〉
という手紙をもらった話を
書いていました。
「rose bud(バラのつぼみ)」は、
オーソン・ウェルズ監督の
映画『市民ケーン』(1941)で、
主人公である大金持ちの男が
臨終のときにつぶやくセリフであり、
彼が子供のころに使っていた橇(そり)に
刻印されていた文字です。
映画のキーワードであり、
謎ともされる単語らしく、
かっこつけた研究者本(笑)とか、
フロイト系読み解き本みたいなやつに
よく登場します。
アタシ自身は映画マニアじゃないので、
単純に、
子供のころの思い出につながる単語なのか、
くらいに思ってますが、
小津映画の主題とも言われる
「無常」を示すキーワード、
ってことなんでしょうかね。
ちなみに、『市民ケーン』は、
史上最高の映画みたいなやつの第1位に
過去最多選出されている映画だと思うんですが、
まあ、「面白い」映画ではないですね。
綿麻キャンバス イングリッシュガーデン “アンティークローズ”(279) 花柄プリント 生地 |
で、
『ミシンと日本の近代』を読んだときには、
ミシンを rose bud に例えるなんざ、
やっぱ研究者っつう奴らは
かっこつけだわ的に感じたんですが、
そう言いながらもその部分は頭に残り
(ってことは、うまい比喩だった
ってことなんだろうけども)、
なので、
妄想先行で買ってしまった
「初心者」のみなさんの
生地についての「物語」を聞くたび、
「rose bud だ」と思っちゃうんですよねー。
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