第2223回　「猿の惑星」は今こそ見るべき

コウコラム：「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

2020-05-04（月）

先日、毎日新聞デジタルで、
京都大学学長でゴリラ研究者の世界的権威、
山極寿一（やまぎわ・じゅいち）氏の
寄稿を読みました。

有料記事なので、ざっくり要約すると、
以下のような内容でした。

ウイルス感染症は野生動物に由来する。
今回の新型コロナウイルスも
コウモリが元の感染源だとする説が多い。

コウモリは洞窟や樹上に
集合して眠る習性のため、
ウイルスに感染しやすい。

このコウモリがウイルスの宿主となり、
別の動物（人間との距離が近い動物）
に感染して、人間に感染するわけですね。

山極氏は自身の研究活動から、
アフリカでたびたび発生する
エボラ出血熱に触れます。

エボラ出血熱は、コウモリから
ゴリラやチンパンジーに感染し、
人間に広がっている。

この原因は、
森林伐採によって果樹の数が減少し、
伐採による開発で森の奥まで人間が
入れるようになったせいだという。

「新型コロナウイルスは、
現代の人間社会の盲点をついている」と。

なぜなら、
特効薬やワクチンが開発されていない現在、
ウイルスの感染を防ぐには人と人との
接触を避けるしかありません。

これは、人類が進化と文明の歴史を通じて
育て上げてきた「多くの人とつながる
ことが幸福への道だと信じていたこと」を
ひっくりかえすような大変な事態であると。

コロナ後の社会で、いま以上に
不寛容な事態を招かないためには、
「地球規模の新たな連帯を模索すべき」。

そのために重要なのは、
「グローバルな地球と国の動きと、
私たち自身の身近な暮らしの双方で、
人間にとって大切なことは何かということを
じっくり考えること」だと。

＊
無料部分に書いてあるように、
新型コロナウイルスの感染拡大で、
山極氏の頭に浮かんだのは、
映画「猿の惑星」だったといいます。

「猿の惑星」は1968年の映画ですが、
私は子どものころ、テレビの
金曜ロードショーかなにかで見て、
あまりの面白さに超感動しました。

その後、続編がつくられていたことは
知らなかったのですが、
今回の山極氏の寄稿文で、
人間が猿に支配されるようになったのは、
人間の世界でウイルスによる感染症が拡大して
人類が絶滅の危機にひんしたから、
そういう設定だったことを初めて知りました。

そうかー、「猿の惑星」って
そんな深いストーリーだったのかー、
と断然、再見したくなり、
昨晩、見たのです。

そしたら、すごい！
「猿の惑星」は、いまこそ見るべき
映画だと思いました。

しかも、50年前の子どもが見ても
面白かった映画が、その子どもが50年後、
大人になってもういちど見ても面白いとは！

無知だった子どもが見ても
単純に楽しめるエンターテイメントでありながら、
知識を得て歴史を少々学んだ大人が見ても
面白くつくられているんですよ。

科学や宗教、「大人」になることへの
批判的視点も盛り込まれています。

そのうえ、映画らしい大立ち回りという
視覚的、動的演出も素晴らしく、
さらに、これまた映画ならではの、
音楽、メイクアップ、衣装、小道具大道具も、
自分が生まれた頃につくられたものとは
思えないくらいのクオリティなのです。

まさに、こんな総合芸術を生み出せる
人間ってすごい！と思いました。

第二次世界大戦を経験している
原作者ピエール＝ブールが、
ベトナム戦争、米ソ冷戦の最中に
人類存続への警告をちりばめたことが
よくわかる映画です。

みなさんもぜひ、もういちど見てください。

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