ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

山口百恵と美空ひばり

中川右介著『山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと
(朝日文庫)読了。

1978年。
百恵は〈いい日旅立ち〉で国営鉄道と対等に連携し、
そして国営放送局が主宰する紅白では紅組のトリを務め
「真赤なクルマ」ではなく
「真赤なポルシェ」と企業名を堂々と出して
〈プレイバックPart2〉を歌い上げた。
百恵の革命成就の年が1978年だった。

〈いい日旅立ち〉が世に出たその舞台裏
(革命もきれいごとだけでは成就しない)、
あるいはピンク・レディーが紅白を辞退したその真の理由。
仕掛人の存在、
高度な芸能ビジネスレベルでの駆け引きが興味深い。

それにしても、
私の大学時代(75年〜79年)の歌謡界は
阿久悠の黄金期だったんだな。
76年〈北の宿から〉、77年〈勝手にしやがれ〉、78年〈UFO〉と
レコード大賞3連覇なのである。
『山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと 』の
影の主役こそが、この阿久悠なのである。

1979年。
百恵が友和と交際をしていると恋人宣言をした年。
シングル〈しなやかに歌って〉のサブタイトルが
「80年代に向って」である。

筑紫哲也のインタビュー(月刊プレイボーイ)記事に注目したい。
筑紫は時代の違いはあるが、
美空ひばりと百恵の共通点を挙げ
「本質は意外と似ているんじゃないかしら」と問うのだが、
百恵はこう答えている。

〈はっきり言って、似ていてほしくないですね。
私はあんまり好きじゃないーー
というと非常に失礼ですけどね。
たとえ仕事をしていてもしていなくても、
あそこまで孤独になってしまいたくない。〉

当たり障りのない発言で
逃げることも可能だったはずだが、
日本の歌謡界の女王に対するこの発言は、
美空ひばり的なものに対する嫌悪ではないか。

このあたりに百恵の凄みを感じる。
嫌なものは嫌なのだ。
そして「80年代に向って」いた女を感じる。

1980年は百恵のラストイヤー、
この本の最終章でもある。
百恵に〈ロックンロール・ウィドウ〉を歌わせた宇崎&阿木、
その「抗議」を受け止めてプロ歌手の意地を見せた百恵。
この章はここに尽きるでしょう。
宇崎の「イケルぜ、おまえ、まだよぅ、ビンビンいけるじゃねェか!」
という叫びのような宇崎の言葉がいい。

そして80年代の主役である松田聖子との
さりげないすれ違いのシーンもいいな〜。


5/23に『山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと』
刊行記念イベントが開催されます。

僕もゲストでお呼ばれされました。
同書は膨大な資料を駆使して書かれている。
資料の集め方とそれをどう使って書くのか?
私もぜひ聞きたい。
物書き志望の方、必見必聴ですよ。

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