第1053回　頭のいい人ほど頭を使ってない？

コウコラム：「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第1053回　頭のいい人ほど頭を使ってない？

2015-04-14（火）

12日のハーフパンツを作ろう！教室で
サクサク作業してる人がいて、
ふと見たら、
前のときに最後まで居残ってた人！

驚いて声かけたら、
以下のような答えが返ってきて
超感激しました。

「前は、3cm折るんだったら
きっちり3cm折らなきゃいけない
と思っていたので、3cm折ることを
一生懸命やってたんですけど、
コウ先生の教室に参加して
だいたいでいいんだってわかったら、
気持ちがものすごくラクになって、
サクサク作れるようになりました」

（↑今日のリンク画像は、
Amazon読みたい本リストから
ランダムにピックアップ）

＊

ハーフパンツの回は、
ソーイング経験者が多かったんだけど、
ファスナーつけのとこは難しかったようで、
最も理解しにくいであろう個所を
間違えた人が多かった。

その理由は、「思い込み」のせいだと
私は思っているんですが。

いちども習ったことがなくて、
本だけでファスナーつけが出来てる
と思い込んでる人の半分は
間違ったまま縫っていると
私は推測しています。

しかし、そんな中、
ファスナーつけまでは遅れていた
「本当に初心者です！」な方が、
ひとっつも間違えずに
ファスナーを縫い付けてました。

本人いわく
「何もわからないから、
言われたとおりに縫っただけです」。

このふたつの現象と証言をふまえて、
コラムを書こうと思っていたら、
超タイムリーなニュース↓を発見！

●学習スピードが速い人は
頭を使っていないことが判明！

nature掲載の元の論文はこちら↓
●Learning-induced autonomy
of sensorimotor systems

Abstract（要約）をちらと読んだだけですが、
ニュース記事にもあるように、
脳の中の認知コントロール中枢
「cognitive control hubs」
（記事では「認知ツール」）を
release（オフに）できるかどうかが、
習熟率（物覚えのよしあし）と関係する、
という研究結果のようであります。

新しいことを勉強するときには、
いくつかの「認知ツール」が
ジャマになるらしいんだけど、
物覚えの悪い人っつうのは、
この「認知ツール」をオフにできない。

使っちゃダメな道具まで引っ張り出して
一生懸命取り組むから時間かかる、
というようなことだと思います。

一方、物覚えのいい人は、
新しいことを勉強するとき、
「認知ツール」をオフにできる。

つまり、実は、
頭のいい人ほど頭を使ってなかった、
って話ですね。

ニュース記事執筆者は、
（長く練習を続ければ
認知ツールをオフにできるから）
新しいことを勉強するには
「ひたすら練習をこなすのがベスト」
だと締めくくっているんですが、
この部分はちょっと違う気がする。

脳の使い方を練習したほうがいい、
ならわかるんだけど。

認知ツールをオフにする、っていうのは、
新しいことを勉強するときは、
いちど頭をカラにしたほうが覚えが早い、
ってことなんじゃ。

日本で最初のダダイスト辻潤
（伊藤野枝の実質的な最初の夫）は、
100年前に新しかったことのほとんどすべてを
学んでいたであろう人物ですが、
毎日、頭をカラにするために
毎日、酒を飲む、というようなことを
書いていました、確か。

いや、辻潤は、単なるアル中だったか（笑。

ま、それはともかく、
頭をカラにできてない状態とは、
以前の知識や既知映像を
オフにできない状態では。

一般的な言説、
たとえば、３cm折るときは
きっちり3cm折らなければいけない、
みたいな「言い伝え」を信じ込んでいると、
早くラクに縫える方法を習得できない、
みたいなことじゃないかと。

練習積まなきゃいけないんなら、
物覚え悪いんだから、
時間かかるだけで同じことじゃん！