コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます
第1910回 歴史の見方の変化があったんだなと
今日のコウ手芸部では、
母娘で参加中のママのほうMさんが、
「sokkoちゃん」というお人形の
洋服をハギレでつくりました↓
アメリカの50年代の香りが漂う
超かわいいお人形は、
造形作家・こまつまりこさんが
つくっている人形だということです↓
*
さて、
Mさん親子が参加した
午前の部のレッスンの前に、
テレビをつけたら、
日曜美術館に、
先日、コウコラムで触れた
池内紀さんが出演していて、
おっと思い、見てしまいました。
テーマは、画家・井上安治。
井上安治(1864〜1889)は、
わずか25歳で亡くなった、
探景というペンネームも持つ画家で、
小林清親(1847〜1915)の弟子です。
ちなみに、私は清親ファンで、
自サイト内検索をしたら、
清親についてこんなに書いてました。
*
日曜美術館内の司会者の説明によると、
最近は有名になった井上安治について、
「ずっと前から書いておられた」
のが池内先生だということでした。
その紹介を受けて、池内先生は、
「(私が安治について書いたのは)
40年くらい前ですかね」
と答えていました。
安治は、
「清親のダミー」と呼ばれて
評価が低かったが、
そうではないというのが、
番組の趣旨のようでした。
故杉浦日向子さんが、
井上安治と小林清親を比較して
書いた文も紹介していましたが、
清親は芸術家であろうとしたのに対し、
安治は自分は画工だという意識
だったのだろうと。
同じアイテムを描いた
二人の絵を比較して
清親の絵が
ドラマティックであることに対し、
そうでない安治の絵を、
芸術家と画工という対立語で
表現しているのでした。
わかる気はするが、
もっとわかりやすい表現も
あるだろうなと思った私。
*
ドラマティックでない安治の絵を
池内先生は、
(江戸時代を20年生きた清親と違って)
安治は江戸時代を知らないので、
東京(江戸)に対して郷愁がなく、
見たままをリアルに描いていて、
それが気持ちいい、
というようなことを話し、
それを受けた司会の男性(たぶん小説家)が、
若さはある意味残酷だというような
意味でしょうか、
と言っていました。
安治のほうは詳しくないので、
あくまで個人的推察ですが、
40年くらい前に
池内先生=学者が、
それまで無名だった井上安治という画家に
スポットを当てたのは、
歴史の見方の変化があったことが
理由ではないかと。
歴史は天才や偉人によって
つくられるのではなく、
多くの普通の人たちによって
つくられてきたのだという
歴史の見方の変化があったんだなと。
そもそも、画家の絵を読み解くなんて
あんまり面白いことじゃないし、
深いことを考えずに描かれた絵もあるだろうし、
絵は見て気持ちいいとか面白いとか
そういう評論だけで十分だと思うし、
むしろ、池内先生が安治を取り上げた
時代背景を考えることのほうが
面白い。
*
私が小林清親が好きなのは、
絵が面白いことは言うまでもなく、
晩年、社会主義者的な考えを
持っていたのではないかという点です。
日清戦争で船から落ちて海に沈む
清国の人びとを「勝者の視線」で描き、
権力批判のポンチ画を描いて投獄され、
日本という国がどう進んでいくのかを考え、
ドストエフスキーの『虐げられた人びと』を読み、
娘のカツに当時の女性としては
高等の教育を受けさせた清親。
未来への視点を持ち、
若者(=安治)に社会をリアルに観ることの
大切さを、絵はだれにでも描ける
ということとともに教えた
という点からしても
社会主義的思想を持っていた
のではないかと思うのです。
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