コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第1961回 断捨離で本を整理してたら


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今日のコウ手芸部では、
Kさんの、
ダブルガーゼのワンピースが
完成しました↓

Kさんは昨年から参加中の30歳の若者なんですが、
先日、断捨離で実家の本を整理してたら、
コウ先生の名前を見つけてビックリしました、
という話をしてくれました。

Kさんが、小学生高学年くらいの頃、
大好きだったというその本は、
学校の怪談シリーズの一冊、
『放課後のトイレはおばけがいっぱい』↓

上記リンクは、文庫版ですが、
単行本で出版されたこの学校の怪談シリーズは、
売れに売れて、ずいぶんと版を重ね、
映画にもなりましたし、
インドネシア語版に翻訳されたりもしました。

ある筋の話では、
版元がこの本で立派なビルを新築したとも、
この本で担当編集者が部長に昇進し、
「おばけ部長」と呼ばれたという話もあります。

(「おばけ部長」は、私とツルシの
結婚披露パーティにも出席してくれました)

Kさんいわく、当時の子どもはみんな、
この本を知っていると思う、
そのくらい、自分も大好きだったし、
大人気だったといいます。

そんな本の絵を描いた人に、
大人になって、偶然、しかも、
裁縫の先生として会えるなんて!
と非常に驚いていました。

おばけの本のイラストを描いたとき、
私は20代でした。

おばけ部長になる前の担当編集者の方は、確か、
雑誌『アンアン』のエステかなにかの
タイアップページでの私のイラストを見て、
おばけの絵の依頼をしてきてくれたんでした。

当時、児童書の絵も描いていたんですが、
『アンアン』でおばけの絵を描く人を探した
ってところに、編集者のセンスがしのばれます。

打ち合わせではじめて訪れた出版社のビルは、
木造のかなり古い2階建てでした。

小学館とか集英社と同じ出版社とは思えず
(大変失礼な話ですが)、
間違いじゃないかと会社名を確かめた記憶が
あります。

いやああ、それが、のちにあんな大きなビルが
建つことになるとは。

文章と絵がある本で、
絵=イラストを担当する人への支払いは、
「買い取り」つまり、初版時の原画料のみ
という契約が一般的です。

その後、本が売れて増刷しても、
絵を描いた人には一銭も支払われないわけです。

絵の分量や性質、描いた人にもよりますが。

そうした契約が一般的だった背景をふまえて、
おばけ部長こと担当編集者の方が、
「売れると思います。印税契約にしませんか」
と言ったことをよく覚えています。

いっときは増刷のペースも量も多かったので、
本当によい「思い出」です。

Kさんは、おばけの本はとっておくことにしました、と。

本をかく仕事を長年やってきて、
うれしい瞬間でもありました。

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