コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第196回〈新・街コレ002〉サルエルパンツ

手芸部に来ている私より一歳年下のJさんが
「サルエルパンツが作りたい」といった。

Jさんは「大橋歩さんの洋服」が大好き。
ガボガボのワンピースもいいけど、
ラクラクのサルエルパンツも作りたいんです、
だってラクそうでしょ、
といいます。

でもさ、
ラクラクのサルエルパンツは足が短く見えるよ、
と私がいったら、
でも、ラクなのがいちばんですよ、
とJさんはいいました。

オバサンに人気のパンツとしては
もんぺってやつもあるから、
似た系統のサルエルパンツも
オバサンに人気なんだろうとは思う。

でも、私ははきたくないなあ、あんまり。
足が短く見えるのもそうだけど、
いかにもオシャレしてそうでかっこ悪いし、
あと、もんぺやサルエルパンツをはくオバサンは
お金持ちでないといけない。
ビンボーな私には分不相応で、
そういうのはだいたい似合わない。

けど、人気っぽいわりに、
サルエルパンツを実際にはいたオバサンを
私は見たことがない。

といったら、誰だったか、
「それっぽいとこにはいそうですよ、
港区あたりとか」といった。
サルエルパンツ=お金持ちマダムって
思ってるのは私だけじゃないかな。

そういえば、Jさん、
「ビンボくさく見える格好はイヤだ」
といっていた。
そうか、そのあたりにも
サルエルパンツ人気の秘密が?
 
で、サルエルパンツ、
オバサンがはいているのは、
私の住んでる庶民的な街、
笹塚下北沢あたりでは見かけない。
でも、若い男子のサルエルパンツ、
これはまあよく見かけるのですよ。

先日、見かけたサルエル君は、
チャコールグレーを「今日のポイント」に置いて
コーディネートしたらしいオシャレさんだった。
大学生くらいだろうか。

若い男子がサルエルパンツを好むのは、
腰パンの流れなんだろうか。

私がちょっと気になるのは、
サルエルパンツをはいた男子の
ひとり率が高いこと。

下北沢は、2、3人で古着店めぐりを
している風な男子が多い街なのだが
(あるいは、女子とふたり連れで)、
サルエルパンツをはいた男子はたいていひとり。
さて、みなさんはなんでだと思う?

それにしても、
最近の男子ってオシャレですね。
眉も整え、うっすら化粧してる子もいたり、
ヘアスタイルも女の子みたい。

要するに女性化している。
でもホントに女の子みたいに
かわいくなってるわけじゃない。
一応男性なんで、
妙なゴツゴツ感はやはり残っていて、
オシャレしてればしてるほど
なんだか性別不明な、
かっこ悪い中性みたいな、
なんでだか「かっこいい男子」には
見えなかったりする。

ああ、この感じ、なにかに似ている。

妙に手をかけた眉や髪型、
でもなんかシックリこない感、
半分女で半分男みたいな、中性っぽい感じ、
なにかに似ている、
なにかに似ている。

私は今回、それがわかった。
オシャレしたオバサンに似てるんだ。
サルエルパンツはいてる男子、
まさにオシャレしたオバサンである。

※〈新・街コレ〉は2004〜06年に
『週刊朝日』で好評連載していた
「ワタナベ・コウの街角コレクション」を
勝手に復活させたものです。
復活させた訳はこちら

 
●ワタナベ・コウの漫画単行本第2弾
『節電女子』発売中!

(発行:日本文芸社
 企画:エム・エム・クリエーション
 編集協力:ツルシカズヒコ

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『裁縫女子』(リトルモア)のインタビューなど】

雑誌『hito(ヒト)』3号

「サイゾーウーマン」

●歌人の枡野浩一さんとのユースト対談↓
http://www.ustream.tv/recorded/12750111

●写真家の大野純一さんとのユースト対談↓
http://www.ustream.tv/channel/ohnojunichi

●文筆家の近代ナリコさんの『裁縫女子』(リトルモア)書評↓
http://bit.ly/fHvj35

●『裁縫女子』は↓で最初の4ページが読めます(無料)。
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