ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記
大杉栄&伊藤野枝の形見
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さて、大杉栄の回想録、
安成二郎著『無政府地獄 大杉栄襍記』
(新泉社/1973.10.1)を読み始めました。
襍記は「ざっき」と読み、
意味は「雑記」と同じです。
その中に「かたみの灰皿」
という短文があります。
初出は雑誌『改造』
1923年(大正12年)11月号。
安成は「大杉栄&伊藤野枝の
最後の写真」を撮影した人ですが、
その経緯もこの「かたみの灰皿」に
記されています。
1886年生まれ(~1974年)の安成は
大杉とは年が近く(大杉の方が1年年長)、
お互い付き合いやすかった
のかもしれない。
例の大杉を巡る
四角関係事件が生じた際、
当時、雑誌編集者だった安成は
大杉&野枝の数少ない理解者でした。
「かたみの灰皿」とは、
安成が大杉&野枝の形見として
もらった灰皿のことです。
灰皿、巻き煙草を立てておく容器、
それらを載せる盆の
硬質陶器の洋風3点セットで、
チューリップの模様があった。
大杉は煙草好きだったが、
銘柄にこだわりはなく
「金口」でも「朝日」でも
手当たり次第に
吸っていたようです。
もちろん安成も
愛煙家だったから、
灰皿を形見分けして
もらったのだろう。
大杉&野枝が虐殺される
3日前の9月13日の夜。
安成は会社からの帰途、
大杉宅に寄り、珈琲を飲みながら
大杉&野枝と小一時間ほど話し込んだ。
珈琲は野枝が淹れたのだが、
大杉&野枝は自分たちが
淹れた珈琲が自慢だった。
大杉&野枝愛用の
「珈琲をつぶす器具」も
安成は形見として贈られた。
手動式コーヒーミルのことだろうが、
こんなやつだったのかな。
9月13日の夜は、
3人で珈琲を飲み、
大杉と安成は煙草を吸い
洋風の灰皿に灰を落としたのだろう。
大杉&野枝虐殺の3日前の
この夜の訪問が、安成にとって
ふたりとの最後の別れになった。
安成の家に大杉&野枝の
形見が贈られたのは、
すでに大杉&野枝の遺児4人が
福岡の野枝の郷里に
去ってしまった10月6日だった。
勤め先から帰宅した安成が、
机の上に置かれている形見を見て、
妻に「これは好いな、
一番好いものだア」と咄嗟に言ったが、
その直後に安成が取った
行動はこんなふうだった。
〈急に胸の疼くやうな堪らない気がして、
私はそれを目の前から取り除いた。〉
8月、野枝は産後間もない体で
慶応病院に入院中の安成の妻を見舞った。
安成の妻は野枝の形見として
「支那の芝居の絵」が描いてある
支那扇をもらった。
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