ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記
野上弥生子と伊藤野枝ーーその階級の違い
2016-02-21(日)
【伊藤野枝 1895-1923】
第107回「地頭(じがしら)」、
原稿を整理しました。
この回の白眉は
野上弥生子の筆致の冴えですね。
野枝の描写、
そして野上自身の心理描写、
その時の野上家
(謡の会が開かれている)の描写など、
野上の研ぎすまされた観察眼、
感受性が見事に文章化されています。
この文章のすごさは残酷な事実を、
読者にさらりと投げかけている
ところとも言えましょうか。
自宅で謡の会を開ける教養や
経済的余裕のある野上家、
かたや野枝の家は
貧窮しているわけですが、
この残酷な対比をさらりと書ける
野上弥生子の筆力は
やはり尋常ではありません。
野枝にとって野上弥生子は
信頼するに足る大事な
年上の友人でしたが、
ふたりの置かれた階級の違い、
そのあまりの懸隔に
時にはため息ぐらいは
出たかもしれない。
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