コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます

第441回 ロアンヌ

現在、わが手芸部には、
フランス出身の裁縫男子Fさんが
参加中であります。

この前、Fさんに、
「小学校や中学校で
ミシンを教わりましたか?」
って質問したんだけど、
フランスにはそういう科目自体が
ないって言ってた。

で、今日、
Fさんのほうから
「日本では、今でも学校でミシンを
教わってるんですか?」と質問されました。
「はい」って答えたら
「今でも、ですか?」と念を押されました。

けどまあ、Fさんは男子であるから、
「技術家庭科」は伝わらないとして、
「木工も教わらないの?」と聞いてみた。
しかし「木工」も伝わらず。

木で本棚を作ったり、
とか言ってみたりしてようやく
伝わったようだったが、
やはりフランスでは、
技術家庭科にあたる科目はないようである。

Fさんいわく
「そういうことは、
家でおかあさんやおとうさんに
教わっていたんだと思います」。
うん、確かに。
日本も江戸時代までは
そうだったんですよね。
下田歌子研究家のワタクシとしては、
ここ、重要。

で、そんな会話を交わしながら
私はハッとしたのである。

学校でミシンを教わっているのに、
なぜココ(アタシの教室こと手芸部)には、
日本人がたくさんミシンを教わりに来ているのだ?
そんな風にFさんは疑問を持つのでは、
と思ったわけよ。

なので、私は言いました。

「日本のそういう授業、
いいお嫁さんになるための
楽しくないミシン、教えます。
だから、たいていの女性、
学校で教わるミシン、嫌い。
嫌いだから覚えない。
それでそのまま大人になる。
大人になってミシンをやりたい、
そう思ったときにできないので、
ソーイング教室に来ます」

通じたであろうか、ちょっと不安。
「いいお嫁さんになるための」が
自分でもおおざっぱすぎると
思わなくないけど。

ちなみに、Fさん、
フランスのロアンヌ出身だそう。

ロアンヌって知らなかったんだけど、
人口は4万人弱で、
リヨンが最も近い大都市なのね。

ロアンヌは、Fさんによると
「たぶん1970年くらいまでは」
縫製工場がたくさんあった
繊維の街だったらしい。

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