コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます
第1251回 世界記憶遺産とか大脱出とか殺人ザルとか
日経ビジネスオンラインのコラム、
今日は以下ふたつを読みました。
中国の「南京大虐殺公文書」が世界記憶遺産に登録されたことについての記事です。筆者は、自分自身を「南京事件がなかった」という立場ではない、と前置きした上で、信憑性が問題視される資料を含む「公文書」が世界遺産に登録されてしまい、今後日本は外交的に苦しい立場に立つんじゃないか的なことを書いています。
筆者は、今後は日本も中国のように、歴史の真実を追求せずに、政治として活用したほうがいいのでは、と提案しているようです。いろいろ勉強してる人はともかく、勉強してない人(のほうが多数派だし)がこういう意見に触れるとかなりヤバい気はする。アタシがこれ読んでボヤヤンと頭に思い浮かべたのは『ゴー宣』とその信奉者たち……(笑。
いや、しかし、こういう話を読むにつけ、つくづく、1995年時点で、『ゴー宣』著者である小林よしのり氏にノーと言えた編集者は偉かったのだなあ。ある意味、あれを出版界の「政治」に活用しなかったという点においては、つくづくバカだったんだなとも思うけれども。
さて、筆者によると、中国の公共外交専門家は、日本はアニメや漫画で国際社会での自国のイメージアップに成功しているが、歴史認識世論の形成には失敗した、と指摘しているそうです。まあ、正確な意味合いはわかりませんが、日本自らが選択したイメージアップ戦略というより、明治時代の美術みたいに、外国にウケたからってだけのような気もしますが。
いや、まあ、それにしても、国家というものがあるせいで幸福感(の定義はまた改めて)を得られないんじゃないか、とうっすら感じているアタシには、国家という線引きを肯定した上での政治どーのって話は、どーもしっくり来ません。
もうひとつ読んだコラムはこちら↓
●今年のノーベル経済学賞、ディートン教授のすごさとは
ピケティの本が話題になったときも感じた、っていうか、研究者の本を読むと感じるんだけど、自分がうっすら思っていたことが、データつきでまとめられているだけだったりすると、なんで、今さら、こんなわかりきったことが!と思います。
という話を、研究者の某さんに話したらば、「研究ってそういうもんですよ、特に経済学ってそういうものなんじゃないですかねえ」って。ま、確かに、なんとなく感じていることはなんとなくでしかなく、それは思い込みだったり、間違いなことも多々あるわけだが。
ディートン教授の『大脱出』は読んでませんが、同じ版元のみすず書房の『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』
は読みました。
自由にやっていいよと言われれば、頭いい人は頭いい人と組むから、頭悪い人は頭悪い人同士で組むしかなくなり、格差は広がるのだ、という話が書いてあって、やっぱりそうだったのかと思いました。
というのは、52年間の人生で、属す階層によって、見えてる世界ってまるで別物なんだなあということを、知ったからです。その階層の差は、子どものころにはたいした差じゃないんだけど、ある日、あるとき、ふと気づくと、ものすごく差が大きくなっていて、ちょっとやそっとじゃ埋まらない差になってるんですよね。
子どものときって、大人になるほど頭がよくなるんだと思ってたけど、そうじゃないんだよね。
子どものときは、違う階層でもコミュニケーションがわりとラクにとれるんだけど、大人になると難しくなる。適当にコミュニケートしようとすると、齟齬が出て、お互いの信用が得られなくなる。で、めんどくさいから、もとの階層にとどまる。で、だんだん自分が見ているものと違うものを見ている人がいること自体を忘れてしまう……。
自分自身は、わりと幅の広い階層の人とつきあう機会が多いような気がするんですが、それは、勉強好きと裁縫好きという相反する「階層」を「矛盾したまま」持っているためだと思います。どちらも「専門化」できなかったというか。勉強好きの階層に顔出せば「バカ」扱いされ、裁縫好きの階層に足踏み入れれば「降りて来んなよ」的扱いを受ける。かなり貴重な体験として、面白がってもいますが、どうして、いろんな人と仲良くできないんだろうか、という疑問は残り続けます。
ま、しかし、そのあたりも、ある階層にきっちり属す、つまり、専門化することはその質が低くとも経済的に有効なのだ、と『殺人ザルは〜』で読んで、専門化するといろんな人と仲良くすることは無理ですから、ああ、なるほどなと。
そして、アタシも、資本主義とか、自由経済ってやつが、今の「生きづらい」社会を作っている原因なんだと思っていたクチですが、『殺人ザルは〜』によると、もともとが視野狭窄でウソつきでずる賢い殺人ザルだった人類という種にとったら、今、この状態ってぇのは、ずいぶんマシな状態らしい。
しかも、地球の歴史の長さからしたら、まばたきするくらいの一瞬の時間で、こんな素晴らしい進化をとげた(実験の)結果なんだと。そうして、だから、人類ってやつの知恵も捨てたもんじゃないんだよ、絶望すんな、希望を持て、って言いたいんだね、きっと。
『殺人ザルは〜』のテイストに『大脱出』
は似てるんじゃないかと予想しているんですが、『大脱出』
には消費についても書いてあるらしいです。
消費は、わが大好きなミシンとも関係深いテーマですから興味を持っていますが、だいたい以下のような感じじゃないかと予測します。生活する→お金を稼がないといけない→安定した収入を得られる仕事をする→ストレスがたまる→消費でストレスを発散→お金が必要→お金稼がないといけない、で元に戻る。
子ども時代のアタシは、どんな辛い経験をしてたんだが知りませんが(笑、なぜだかこの堂々巡りにうっすら感づき、このままイイ学校に行って、イイ会社に入って、お父さんみたいに給料をもらう人になること(つまり、「男」になること)が本当に幸せなんだろうか、とおおいに疑問でした。それで、こんな好き勝手なことやってブラブラしてる怠け者になっちゃったわけですよ(笑。
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