コウコラム:「服を買わない生活」の中で考えたアレコレを書きます
第1347回 1万ドルもする高価な着物を縫っていると
先日、手芸部夜間部のUさんから、
昨年の朝日新聞夕刊に、
着物の衿の合わせが
「死んじゃってる」イラストが
掲載された話を聞きました。
翌週、「お詫びと訂正」が掲載されたらしく。
ってことは、
校正校閲の人々が誰ひとりとして
「死んでる」衿に気づかなかった、
ってことなのね。
ここで驚くべきは、いまさら、
校正校閲の質の低下なんかではなく。
「着物についての知識は、今、
そんな程度だと思います」と
呉服店跡取り娘ちゃんのOさんは
冷静に言っていました。
そのイラストコラムの執筆者は、
「世界的なファッションデザイナー」で、
日本を代表する服装の専門学校を
卒業した人らしく。
こっそり検索してみたら(笑)
修正されたイラストが、何食わぬ顔で
webにアップされてた!
そして、ついでに、
あれやこれやもヒットしてしまい、
読んでしまいました(笑。
まあ、それはともかく。
記事掲載は昨年の2月27日で、
その2日後の3月1日付け同新聞で
以下特集記事が組まれていたらしく↓
新聞社の人々が着物の衿の合わせが
逆なのに気づかなかった、こと自体が、
「着物(業界)に明日はない」と
回答しているようなもんだが(笑。
いやいや、それはともかく、
特集記事の内容は、いずれも
「なにをいまさら」の内容ですが。
戦後、着物が売れなくなって、
売上高の減少を単価を高くして補う作戦に出て、
〈テレビなどメディアの発達もあり〉
宣伝をして市場を広げた、という部分、
「メディアの発達」ってなんか他人事だわ。
この広告宣伝戦略については、
村上信彦氏の『服装の歴史 2 キモノの時代』に
詳しいです。
1955年頃の着物ブームが、
いかにメディアによって作られたものだったか、
専門学校もそれに加担したか、
が明瞭に書いてあります。
マスメディアの作る記事は、
マッチポンプ的なものがあるから
面白いんですが(笑、
着物の衰退を嘆くようなタイトルをつけながら
宣伝に協力しているというわけですね。
洋服にしても着物にしても、
それがどんな「カジュアル」なものでも、
どんなに「普段着」だと言っても、
買うと作るじゃ、
その「思想」はまるで逆でしょう。
同じ「買う」でも、
素材を買うのと、完成品を買うのでは、
まるで違う行為でありましょう。
自分たちが使えなかったり
食べられなかったりする「高価な」ものを
作ることで生活費を得ているのはおかしいぞ、
と100年前に言ったのは、
クロなんとかって人でしたか。
いやいや、400年前から日本でも
白い米を作っている人が
白い米を食べられなかったらしい
じゃないですか。
という意味で、
プノンペンの18歳女子が
「1万ドルもする高価な着物を縫っていると、
自分がすごい仕事をしている気がする」
との見出しとともにニッコリと微笑む写真、
おおいに違和感を感じます。
自分が買えない(そして着ることもできない)
シルクのドレスを作って
生活費を稼がなくていけない状況を
ヘンだと感じないように
人類は「進化」してきたんですねええ。
******
コウ先生の刺繍はInstagramで↓
*****
コウ先生のLINEスタンプ第3弾
「猫のマリコ」堂々発売中!
*********************
コウ先生のお気に入りリスト↓
●着物JAPANリスト
●洋裁手芸リスト
●キッチン器リスト
●ミシンリスト
●猫リスト
●美容リスト
●食リスト
●靴リスト
●雑貨家具リスト
*********************
コウ先生画、LINEスタンプ発売中です!
↓クリックすると購入ページにリンクします。
iPhoneでのLINEスタンプの買い方はこちらで!
@watanabe_kou からのツイート
*********************
2014/10/21に開催された、
ワタナベ・コウの和光大学での講演
「裁縫する女」のジェンダー・ポリティクス」の、
当日配布資料のpdfファイルです↓
「裁縫する女」のジェンダー・ポリティクス
*********************
●コウ手芸部
●コウ手芸部Google+
●ワタナベ・コウの子ども手芸教室
●FB裁縫女子宣言!
●FB「裁縫する女」と近代日本
●pixivワタナベ・コウ
●ワタナベ・コウの楽天myページ
●クレヤン放送局
*********************
*********************
●雑誌『hito(ヒト)』3号にインタビュー掲載
●「サイゾーウーマン」インタビュー↓
Mサイズ信仰、リバティ族……
裁縫したいオンナたちの虚栄とプライド
●文筆家の近代ナリコさんの『裁縫女子』(リトルモア)書評↓
http://bit.ly/fHvj35