詳伝・伊藤野枝

詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」83回 動揺

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」83回 動揺文●ツルシカズヒコ 野枝がようやくの思いで染井の家に帰り着き部屋に入ると、机の上にまた荘太からの手紙が乗っていた。 息が詰まりそうなので、横になり目を瞑ったままじっとしていた。 二十分もたっ...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」83回 動揺

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」83回 動揺文●ツルシカズヒコ野枝がようやくの思いで染井の家に帰り着き部屋に入ると、机の上にまた荘太からの手紙が乗っていた。息が詰まりそうなので、横になり目を瞑ったままじっとしていた。二十分もたってやっ...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」82回 校正

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年六月二十五日、その日は『青鞜』七月号の校正を文祥堂でやる日だった。 野枝は荘太に宛てた第二の手紙を書き直そうと思ったが、朝出る前に書き直すのは無理だと判断し、第二の手紙を包みの中に包んで仕度をしている...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」81回 第二の手紙

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年六月二十四日の朝、辻が出かけるとすぐに「京橋釆女町(うねめちょう)にて」と裏書きされた、荘太からの手紙が届いた。 それは荘太が前日の夕方に書いた手紙だった。 野枝は前夜、荘太への手紙を書こうとしたが疲...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」80回 高村光太郎

文●ツルシカズヒコ 野枝は辻との関係を早く話してしまいたいとあせっていたが、なかなかきっかけがつかめないでいた。 そのうちに荘太は『中央新聞』の野枝の記事について話し出した。「僕にはあなたがひとりの方ではないか(ママ)といふ不安があつたので...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」79回 文祥堂

文●ツルシカズヒコ 一九一三(明治三十六)年、六月十八日。「動揺」(『定本 伊藤野枝全集 第一巻』_p27)によれば、その日の朝、野枝と辻はいつものように、辻の母・美津や妹・恒(つね)より遅れて起きた。 ふたりともまだ寝衣(ねまき)のままの...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」78回 フュウザン

文●ツルシカズヒコ 木村荘太「牽引」(『生活』1913年8月号)によれば、六月十二日か十三日ごろの晩、長尾豊が荘太を訪ねてきた。 荘太は友人である長尾に、自分が伊藤野枝に興味を持っていることを話していた。 長尾はいきなり野枝のことを話し出し...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」77回 拝復

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年六月十四日の朝、野枝は気持ちよく辻を送り出し、机の前に座った。 木村荘太への手紙の返事を書こうと思った。 なんと書いていいかちょっと困ったが、とにかく会ってみることにして、思い切って書いた。 拝復、御...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」76回 中央新聞

文●ツルシカズヒコ 野枝が木村荘太からの手紙を、青鞜社事務所で受け取ったのは、六月十三日の朝だった。 野枝がこの日、青鞜社事務所に来たのはこの日が金曜日であり、金曜日は読者と交流を持つ日だったからであろう。 野枝はこの日のことを、らいてう(...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」75回 魔の宴

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年五月十六日。 雨が降る中、若い男が北豊島郡巣鴨町の青鞜社事務所を訪れた。 男の名は木村荘太。 荘太は応対した保持に野枝との面会を請うたが、野枝は不在だった。 野枝はその後二、三回、事務所に行ったが、保...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」74回 堀切菖蒲園

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年六月中旬。 野枝がらいてうの書斎を訪れ、奥村の話に一段落ついた後、野枝が堀切菖蒲園の話をらいてうに振った。 そのちょっと前、らいてうが田村俊子と堀切菖蒲園を訪れていたからである。「この間の堀切行きは面...
詳伝・伊藤野枝

「あきらめない生き方 詳伝・伊藤野枝」73回 瓦斯ラムプ

文●ツルシカズヒコ 一九一三(大正二)年六月、巣鴨の保持の住居兼青鞜社事務所の庭には様々な花が咲いていた。 らいてうも、清子も、野枝もホワイトキャップに殺されずに生きていた。 関西から帰京した奥村が、曙町のらいてうの自宅を訪れたのは六月七日...