詳伝・伊藤野枝

詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」 第175回 婦人矯風会

文●ツルシカズヒコ 「死灰の中から」によれば、大杉は七月末に野枝が出産のために帰郷したことは知っていた。 大杉は忙しかったので、野枝が帰郷する一ヶ月ほど前から彼女に会う機会はなかった。 十月、大杉は第二次『近代思想』を復活号として発刊した。...
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「詳伝・伊藤野枝」第174回 御大典奉祝

文●ツルシカズヒコ 一九一五(大正四)年十一月四日、野枝は郷里の今宿で次男・流二を出産した。 矢野寛治『伊藤野枝と代準介』によれば、野枝は出産後、西職人町(現・福岡市中央区舞鶴二丁目)、福岡玄洋社そばにあった代準介・キチ夫婦の家に一ヶ月ほど...
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「詳伝・伊藤野枝」第173回 戦禍

文●ツルシカズヒコ 野枝は石炭を運ぶ肉体労働者について『青鞜』にも書いた。 ……貯炭場に働いている仲仕たち–––仲仕と云へば非常に荒くれた人たちを想像せずにはゐられないけれど此処に働いてゐるのはこの土地の人たちばかりでそんなに素性の悪いやう...
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「詳伝・伊藤野枝」第172回 早良(さわら)炭田

文●ツルシカズヒコ 野枝と辻はなぜ今宿に四ヶ月もの長逗留をしたのかーー。 野枝は第二子を出産するころ、ある「決心」をしていたと書いている。 ……私はとう/\決心したのです。 ……母に一時だけ子供をつれて田舎にひとりで行かして貰ひたいと切り出...
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「詳伝・伊藤野枝」第171回『門司新報』

文●ツルシカズヒコ 『女の世界』(第一巻第四号・一九一五年八月)に載った「野依社長と伊藤野枝女史との会見傍聴記」について、野枝はしきりに反省している。 ……あの野依(のより)と云ふ人を厭な人だとは勿論思ひません。 どちらかと云へば気持のいゝ...
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「詳伝・伊藤野枝」第170回 千代の松原

文●ツルシカズヒコ 一九一五(大正四)年七月二十日、辻と野枝は婚姻届を出した。 七月二十四日朝、野枝と辻と一(まこと)は今宿に出発した。 この帰郷は出産のためで、十二月初旬まで今宿に滞在した。 野枝が次男・流二を出産したのは十一月四日だった...
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「詳伝・伊藤野枝」第169回 野依秀市(四)

文●ツルシカズヒコ野依『アナタの御亭主はアナタを可愛がりますか。』伊藤『ソンな事を聞くもんぢやありませんよ。』野依『言つたつて宜いぢやありませんか。』伊藤『正直な事を言はないから大丈夫です。』野依『ヂヤ、アナタは不正直な女なんですか。』伊藤...
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「詳伝・伊藤野枝」第168回 野依秀市(三)

文●ツルシカズヒコ野依『ヘエ、ヘエ、爾うでせう。   まるでおノロケだ。   さうさう、アナタは第三帝国の中村狐月君に恋して居るんですつてネ。』伊藤『冗談言つちやいけませんよ。』野依『ヘエーーだつてアナタはあの人が好きなんぢやありませんか。...
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「詳伝・伊藤野枝」第167回 野依秀市(二)

文●ツルシカズヒコ 野依社長は野枝サンが何を聞いても巧く言ひ逃げるので、 何やら話題を考へて居るらしく暫(しばら)く黙つて居たが、間もなく砲門を開いた。野依『アナタは凡(すべ)の男性に対してどう言ふお考へをおもちですか。』伊藤『妾は喋る事が...
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「詳伝・伊藤野枝」第166回 野依秀市(一)

第166回 野依秀市(一)文●ツルシカズヒコ 一九一五(大正四)年七月七日。 野枝は実業之世界社社長、野依秀市( のより・ひでいち)に会いに行った。 このときの野依と野枝の対話記事「野依社長と伊藤野枝女史との会見傍聴記」が、実業之世界社発行...
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「詳伝・伊藤野枝」第165回 フランス文学研究会

文●ツルシカズヒコ 大杉豊『日録・大杉栄伝』によれば、『平民新聞』を出せなくなった大杉と荒畑は、そのころサンジカリズム研究会を発展させた平民講演会を主宰していた。 平民講演会は労働者を引きつけ新入会者を受け入れ、運動を前進させる橋頭堡だった...
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「詳伝・伊藤野枝」第164回 三面記事

文●ツルシカズヒコ 『青鞜』七月号「編輯室より」から野枝の言葉を拾ってみる。 ●……それで前号にも申しましたやうに八月は一月やすみまして九月の紀念号からしつかりしたものを出したいと思ひます。それで九月号には堕胎避妊についてのお考へを成るべく...