週刊ポチコラム:ポチことツルシカズヒコが雑誌批評などを書きます
vol.9 麻原彰晃の嘘
クレヤン11号の編集長インタビューの関連で、
『週刊SPA!』1988年から1992年発行の号に、
ザッと目を通したのだが、
1989年12/6号(写真)に注目すべき記事が載っている。
麻原彰晃と中沢新一の対談が掲載されているのである。
タイトルは、
「日本出国直前 独占会見 オウム真理教教祖が全てを告白 [狂気]がなければ宗教じゃない」
坂本弁護士一家殺害事件が起きたのは1989年11月4日の未明、
麻原がヨーロッパに出国したのは11月21日なのだが、
その出国直前に成田で行われた対談だった。
注目すべきは、中沢新一が坂本弁護士一家事件の関与について、
麻原に問いただし、麻原がそれについて答えている下りだ。
以下、引用。
中沢 ・・・はっきり否定なさるわけですね。
麻原 はい、もちろん否定します。
中沢 ・・・くどいようですけど、かりに若い連中が、麻原さんの気づかないところでやっちゃったということも、ないですよね。
麻原 もちろんですよ。
麻原は嘘をついていたわけで、
中沢さんも『週刊SPA!』編集部も騙されたのだが、
しかし、この麻原の発言が活字として残ったということが、
非常に意味のあることだと、僕は思います。
オウム真理教事件の研究資料として後世まで残るはず。
雑誌の存在意義は、いろいろあるけれど、
そのひとつはこういうところにあるんでしょうね。
雑誌ジャーナリズムという言葉もあるけれど、
この記事はその好例だ。