週刊ポチコラム:ポチことツルシカズヒコが雑誌批評などを書きます

vol.28『「週刊SPA!」黄金伝説』出版記念トーク雑感

8/17に阿佐ヶ谷ロフトで開催された、
『「週刊SPA!」黄金伝説』出版記念トークライブが無事終了した。

出演していただいたのは、
鈴木邦男さん、神足裕司さん、枡野浩一さん、吉田豪さん。

              ※

司会を担当してくれたのは吉田豪さん。
豪さんは7/1にオンエアされたTBSラジオ「小島慶子 キラキラ」で、
『「週刊SPA!」黄金伝説』を紹介してくれている。

「小島慶子 キラキラ」の中で豪さんが指摘している、
『「週刊SPA!」黄金伝説』中の誤り2点を、豪さんに謝罪した。
以下の2点です。

●『月刊OUT』に〈石野卓球や吉田豪も投稿していたらしい〉(19頁)という記述があるのだが、吉田豪さんは『月刊OUT』の読者ではあったが、投稿はしていなかった。

●〈88年秋にスタートしたこの「スパ!ボイス」には、ナンシー関や助川哲也や吉本すいかのコラムがあった。助川哲也はドリアン助川として音楽活動をする前の彼であり、吉本すいかは現在の吉田豪である〉(69頁)という記述があるのだが、吉本すいかと吉田豪さんは別人。

そして、以下の記述の誤りも訂正させてもらった。

●〈青木光恵の漫画連載はスギタ班のシンポの企画だった。シンポは現在の漫画解説者・南信長である〉(159頁)という記述があるのだが、〈シンポ〉は〈シンボ〉の誤り。

豪さんには「もっといろんな人に取材をして、その人たちの発言も読みたかった」という趣旨の感想をいただいた。
確かに、この本を叩き台にして、
当時の関係者の発言を盛り込んだ本もあっていい。
僕も創ってみたい。

               ※

枡野浩一さんには、『「週刊SPA!」黄金伝説』を書くにあたり、
枡野さんのアドバイスが貴重だった旨の発言をした。

枡野さんと僕はクレヤン9号で対談をしていて、
その中で枡野さんはこんな発言をしている。

〈ツルシ編集長個人が当時感じていた、もしかしたら偏っているかもしれない意見を、そのまま書いていいんじゃないですか。好きだったことと嫌いだったこと。好きだった人と嫌いだった人。ある程度「自分は偏見を持っている」という前提で書かれたほうが、無理やり「公平な立場」を装うよりフェアだと思うんです〉

この枡野さんの助言は大きかった。ふっ切れたというか。
たとえば、『「週刊SPA!」黄金伝説』中の以下の記述。

〈渡辺さんが編集長当時、『創』(93年1月号)に「中森明夫、田中康夫、木村和久を足して三で割ったのが『SPA!』のスタンス」という発言をしていた。僕は中森明夫はともかく、田中康夫、木村和久を評価するスタンスではなかったのだ〉(134頁)

もし枡野さんの助言がなかったら、
このように歯切れのよい記述ができたかどうか……。

枡野さんが当日持参してくれた「お宝」同人誌にはビックリ。
枡野さんが登場している、かなり際どいヤオイ系の漫画同人誌でした。
「中森文化新聞」にイラストを描いていた、
原田知子さんが描いてるんですね。

               ※

鈴木邦男さんには、
「鈴木邦男の愛国問答」(第53回)「鈴木邦男の愛国問答」(第55回)、あるいは『AERA』7/19号の書評で、
『「週刊SPA!」黄金伝説』について言及してもらっている。

今回のトークでの鈴木さんの発言で注目したのは、
まず、野村秋介さんの自決記事に関して起きたトラブルについて。

抗議をした野村秋介事務所と抗議をされた『週刊SPA!』編集部。
鈴木さんによれば、野村秋介事務所と『週刊SPA!』編集部、
双方の主張を尊重した、
実にフェアな形でのトラブル解決の希有な例なのだそうだ。

そして、鈴木さんも、当時の『週刊SPA!』に連載されていた、
片山素秀(片山杜秀)さんのコラムを高く評価していたこと。
「あれは単行本にするべきです」と鈴木さん。
僕もそう思う。

              ※

神足裕司さんについては、
僕が「週刊ポチコラム」で言及している。

当日のトークでも、
「週刊ポチコラム」で書いた僕の主張をそのまま言ったが、
神足さんは脱線しまくり。

でも、まあ、終止楽しませるトークをしてくれたたのは神足さんだった。
神足さんには、今回のトークに来てくれたことに感謝です。

              ※

宅八郎さんや切通理作さんについてなど、
もっともっと意見を闘わせたかったという欲求不満は残ったけど、
それはまた機会があれば、ぜひやりたいです。