週刊ポチコラム:ポチことツルシカズヒコが雑誌批評などを書きます

vol.21 拝啓 鈴木邦男様

拝啓 鈴木邦男様

「鈴木邦男の愛国問答」(第53回)、拝読させていただきました。
拙著『「週刊SPA!」黄金伝説』について言及していただき、
ありがとうございました。

〈歴史〉になっているという一文、うれしかったです。
拙著を上梓した目的のひとつが〈歴史〉の空白を埋めたかったからです。

東中野の喫茶店「ボナール」で初めてお会いしたときのことを、
覚えていてくれたことも、うれしかったですよ。
拙著に記したこと以外で、あのとき印象的だったことがあります。

店を出ると雨が降り始めていて、傘を持っていなかった僕に、
鈴木さんが自分の傘をスーッと差してくれたことです。
相合い傘状態で東中野駅まで送ってくれた、
鈴木さんの気配りが印象的でした。

そして、野村秋介事務所から抗議が来たことで、
僕が「右翼嫌い」にならなかった理由ですが、
それは野村秋介事務所からの抗議に一本筋が通っていたからです。
腰が座っているというか、論理的というか。

野村秋介事務所に出向くときは、正直、恐怖感がありましたが、
あのトラブルに関しては、不思議と後味の悪さは残りませんでした。

逆に言えば、腰の座らない非論理的な抗議が多すぎて、
閉口する日々を過ごしていた僕には、新鮮な体験でした。

右翼は「信用できる」という何か信頼感みたいなものが僕の中に培われ、
それが鈴木さんに連載を依頼するきっかけのひとつに、
なったのかもしれません。

実際、鈴木さんは「夕刻のコペルニクス」に抗議が来ると、
まず、ご自身で対処されていました。
さすがと思いました。
連載執筆者の中には抗議が来ると、編集部を盾にして、
煮え切らない対応をする方も少なくなかったんですよ。

最後に、正直言うと、
「夕刻のコペルニクス」は僕が担当したかったなぁ〜。
ともかく、僕は『週刊SPA!』編集長として、
鈴木さんに連載をしていただいたことを誇りに思っております。

それでは、益々のご活躍をお祈りしております。

草々 ツルシカズヒコ

追伸:
今、僕は「クレヤン」という雑誌の編集長をしていて、
次号では連合赤軍の特集を企画しています。
連合赤軍問題に造詣の深い鈴木さんですが、
僕も鈴木さんに何かの縁を感じます。