週刊ポチコラム:ポチことツルシカズヒコが雑誌批評などを書きます

vol.30 山本直樹著『レッド』を読んだ

連合赤軍事件をベースにした漫画の単行本、
山本直樹著『レッド』(講談社)を読んだ。
現在出ている1~4巻です。

う〜ん、すごく読みづらい漫画だった。
実話、しかも一般的に非常にネガティブに解釈されている、
実話を漫画にするのはすごく難しいということなのだろう。

とにかく、登場人物の名前が実名ではなく、
仮名になっているのが、すごく読みづらい。

それに加えて、たとえば赤城(永田洋子がモデル)が、
街に出るときにはメガネをかけたりして変装するのだが、
それがますますキャラをわかりにくくしている。

キャラのわかりにくさを解消するためなのだろうか、
キャラに付けられた死亡順の番号も、
最初は斬新な試みかと思っが、
そのうちウザイだけのものになっている。

そもそも、漫画の強みは、
ビジュアル的なキャラのわかりやすさ、
敵と味方の明確な差別化、
善悪二元論、勧善懲悪といったところにある。
つまり、デフォルメが漫画の最大の武器なのだ。
逆に言えば、デフォルメのない漫画はすごく読みづらい。

あまりにも微妙な問題を内包している連合赤軍事件は、
そういう漫画の世界観と対極にある。

しかし、もし作者の山本直樹が、
漫画という表現手段に向かない連合赤軍事件に、
あえて挑戦しているとすれば、すごいことかもしれない。
そんなふうにも、僕は思う。
今後の展開が、やっぱり気になる。