ポチのクレヤン編集長日記:ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記

中尊寺ゆつこのプライド

古本屋で中尊寺ゆつこ
『スイートスポット』(扶桑社)の文庫本を手に入れた。

中尊寺ゆつこが、
『週刊SPA!』で「スイートスポット」を連載していたのは、
89年4月12月号から92年6月3日号。
この漫画が生んだ言葉「オヤジギャル」は、
90年の新語・流行語大賞の新語部門で銅賞を受賞した。

「スイートスポット」が『週刊SPA!』で連載されていたころ、
僕は同誌の編集者だったが、この漫画をマトモに読んだ記憶がない。
『「週刊SPA!」黄金伝説』を書くために、
『週刊SPA!』のバックナンバーにわりと丁寧に目を通した際にも、
「スイートスポット」はサラっと眺める程度だった。

62年生まれの中尊寺ゆつことコウ編集部員は同学年である。
コウ編集部員も『週刊SPA!』に連載されていた、
「スイートスポット」は読んではいなかったというが、
今回入手した文庫本を読んだ感想は、
「歴史として見ると感慨深いものがあるね」。

確かにそうで、
「スイートスポット」には当時のイケイケ感が凝縮されている。
その時代背景にはバブルもあったが、
86年に施行された男女雇用機会均等法があった。

「オヤジギャル」といっても、
今の若者にはなんだかよくわからないようだが、
「オヤジギャル」が支持された要因は、
男女雇用機会均等法による女性の社会進出、これが大きかったはず。

中尊寺ゆつこの絵は漫画というより、イラスト的なのかな。
いつだったか竹熊健太郎さんと話している時に、
竹熊さんが中尊寺ゆつこの絵に関して、こんな発言をしていた。
「あの色使いは天性のもので、なかなか真似できないよね」

竹熊さんは中尊寺ゆつこの都会的なセンスの良さ、
それを指摘したかったのだと思う。

僕が『週刊SPA!』の編集長時、
一度だけ、中尊寺ゆつこと会って話したことがある。
当時、彼女は『週刊SPA!』での「スイートスポット」の連載を終え、
ニューヨークに住んでいて、確か一時帰国した時だったか。

中尊寺ゆつこは、はっきりそうだとは言わなかったが、
『週刊SPA!』で連載を再開したい、
そういう用件だったと思う。
僕もはっきりは口に出しては言わなかったが、
ウ〜ン、今はちょっと無理、みたいな反応をしたのかな。

中尊寺ゆつこはタカビーな人として名を馳せていたので、
どんな反応をするのかなぁ〜、と思ったのだが、
意外にあっさり、引き下がった。

僕はこの時の中尊寺ゆつこの反応を見て、
彼女を見直したのであった。

こういう時、田舎者はごり押ししがちである。
そうしなかった中尊寺ゆつこに、
僕はシティガールのプライドを見たような気がしたのだ。

中尊寺の本名は藤原、奥州の藤原氏だから「中尊寺」。
中尊寺だから会社名は「金色堂」。
このあたりにも、彼女のセンスの良さを感じる。

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