ポチのクレヤン編集長日記：ポチことツルシカズヒコが書く身辺雑記
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牛帝語録
午前中、姉と宮城県美里町のお寺に行き、
住職さんに墓前で読経をしてもらい、
母の位牌に芯入れ。
帰京して『同人王』のレビューを書いてみました。
「電脳マヴォ」で連載された『同人王』だが、
そのころツイッターで話題になっていたのは、
その決め台詞・名台詞の切れ味のよさだった。
〈質の高いものを描く…その向上心はすばらしいけれど贅肉でもある
度を越えた向上心は体にまとわりついて
「こんな同人じゃダメだ」と手を止めてしまう…
そうして世に出なくなってしまった同人誌は数え切れない…〉
名台詞といっても毒を含んだ「悪の名台詞」もあるところが、
いい味を出していた。
〈腕立て100回やるようなマネで…天才と戦えますか？
そんなのは自分の頭で考えられないボンクラをあやすアメです
上手くなるには天才にもまれ自分も天才になるしかない
ボンクラをあやす「努力」というアメ…〉
「牛帝の超初心者向け同人誌講座」というコラムによれば、
この決め台詞・名台詞は福本伸行の
「福本語録」を参考にしたという。
本書には同人界で成功するには
必殺技を持つ必要があるという名台詞も出てくるのだが、
『同人王』という作品を牽引していた、
その必殺技は「牛帝語録」であると断言することも可能だろう。
一見、狭義のオタクの世界を描いているようだが、
同人界のことを詳しく知らない人でも
すんなり『同人王』の世界に入っていけるのも、
「牛帝語録」が実人生に拡張しても
通用する言葉になっているからだ。
タケオ、真一、白子、ウサミ、ケイコ。
キャラ設定のバランスもよく、
メインキャラであるタケオ、真一、白子各自の
パーソナルヒストリーも過不足なく読ませる。
全体の構成のキモは中盤から後半にかけての
ボンクラ・タケオと天才・真一の反目、対決、
そして冬コミケでの決着のあたりか。
適度に拡散したネタを無事に着地させた
大団円のラストも鮮やかだった。
ラストといえば本書の巻末に収録された
本書のメイキング・オブである「あとがき漫画」自体が
「牛帝語録」になっており、
そして本書の最強の必殺技なのだった。
著者・牛帝、20代の実人生の全体重が
かかった実に重いパンチである。
※
電脳マヴォにてワタナベ・コウ『ふもれすく』連載中。
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伊藤野枝目メモ連載中です。
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