詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第217回 キルク草履

文●ツルシカズヒコ 神近市子が日蔭茶屋事件について言及している、以下の三つの資料に沿って、この事件に迫ってみたい。 ●『引かれものの唄』 ●「豚に投げた真珠」(『改造』1922年10月号/『神近市子文集1』) ●『神近市子自伝 わが愛わが闘...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第216回 午前三時

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)年十一月九日、日蔭茶屋のどこかの時計が午前三時を打った。 ふと、大杉は咽喉のあたりに熱い玉のようなものを感じた。 「やられたな」 と思って、いつのまにか眠ってしまった大杉は目を覚ました。 「熱いところを...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第215回 だけど

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)年十一月八日、夕食をすませると大杉はすぐに寝床を敷かせて横になった。 神近はしばらく無言で座っていたが、やがてそばの寝床に寝た。 大杉は長年の病気の経験から、熱のあるときは興奮を避けてできるだけ何も考え...
コウコラム

第2541回 フード付きマフラーを編む②

YouTube「ワタナベ・コウのSEWINGチャンネル」に「Iコードエッジのフード付きマフラーを編む」②をアップロードしました。ほぼ完成ってことで、作り方解説編はこれで完結ということにさせてください。完全完成はいつかな……。チャンネル登録と...
ポチのクレヤン編集長日記

ゆるトーク32回は「2025たび記事を振り返る」

2025年1月からYouTubeワタナベ・コウ(旧クレヤン放送局)内でチャンネル「ポチ&コウのゆるトーク」を開始しています。しんぶん赤旗掲載記事から話を起して、主に文化芸術に関するゆるいおしゃべりをしています。最新第32回は、ワタナベ・コウ...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第214回 寺内内閣

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)年十一月八日、大杉が目を覚ましたときには、もうかなり日は高かった。 神近も野枝も無事でまだ寝ていた。 朝食をすますと、野枝はすぐ日蔭茶屋を出て帰京した。 神近は野枝の帰京を疑っている口ぶりだった。 野枝...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第213回 大崩れ

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)年十一月六日、大杉と野枝は神奈川県三浦郡葉山村字堀の内の日蔭茶屋に泊まった。 部屋はお寺か田舎の旧家の座敷のような広い十畳に、幅一間ほどの古風な大きな障子の立っている、山のすぐ下のいつも大杉が宿泊する部...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第212回 抜き衣紋

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)十一月六日、大杉と野枝は茅ケ崎経由で葉山に向かった。 近藤富枝『本郷菊富士ホテル』によれば、この日の野枝は近くの髪結で銀杏返しに結い、縞のお召の着物を着て白粉も濃く、何やら浮き浮きしたようすだったので、...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第211回  菊富士ホテル

文●ツルシカズヒコ 一九一六(大正五)年十一月二日ころ、五十里(いそり)幸太郎が本郷区菊坂町の菊富士ホテルを訪れた。 五十里は大杉の面前で野枝を殴ったり蹴ったりした。 五十里は野枝に好感を持っていたが、同時に彼女が時として見せる才気が勝ちす...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第210回 ポワンチュの髯

文●ツルシカズヒコ 岩野泡鳴は一九一六(大正五)年十月十二日の日記に、こう書いている。 十月十二日。雨。大杉氏、野枝氏と共に来訪。(「巣鴨日記」/『泡鳴全集 第十二巻』) 大杉と野枝は泡鳴に借金の申し込みに行ったと推測される。 『日録・大杉...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第209回 霊南坂

文●ツルシカズヒコ 一九一六年七月十九日午後の列車で大阪から帰京した野枝は、七月二十五日に大杉と一緒に横浜に行き、大杉の同志である中村勇次郎、伊藤公敬、吉田万太郎、小池潔、磯部雅美らと会った(大杉豊『日録・大杉栄伝』)。 野枝と別れた辻は一...
詳伝・伊藤野枝

「詳伝・伊藤野枝」第208回 和歌浦

文●ツルシカズヒコ 野枝は大杉に宛てた大阪からの一信に、こう書いた。 叔父(代準介)は午後から旅行するのだと云つて可なり混雑してゐる処でした。 叔父は三時にたつと云つてゐたのですのでけれども九時まで延ばしていろ/\お話をしました。 何か云は...